2015年の市場導入を控える燃料電池車(FCV)の状況は? | レスポンス(Response.jp)

2015年の市場導入を控える燃料電池車(FCV)の状況は?

自動車 ニューモデル 新型車

◆市販に向けてコンセプトカーを用意した自動車メーカー

2011年1月、トヨタをはじめ、日産、ホンダ、JX日鉱日石エネルギー、出光など、自動車メーカーやエネルギー関連企業の13社は「燃料電池自動車(FCV)の2015年の国内市場導入と水素供給インフラ整備」に向けた共同声明を発表した。簡単にいえば、2015年にFCVの量産車を導入し、水素インフラのスタンドも全国の4大都市圏へ100か所ほど整備して、FCVの本格市場導入を開始するというものだ。

そして、気づけば、2015年まで1年を切った。果たして、FCVの開発はどうなっているのか? 水素インフラの整備は用意できるのか? そんな疑問を抱えて、2014年2月26~28日に東京ビッグサイトにて開催された「FC EXPO2014~第10回[国際]水素・燃料電池展」に出かけた。

「FC EXPO2014~第10回[国際]水素・燃料電池展」は、文字通り、水素で発電を行う燃料電池の最新技術を集めた業界最大規模の展示会だ。FCVを開発するトヨタ、ホンダ、日産の自動車メーカー3社は、HySUT(水素供給・利用技術研究組合)のメンバーとして同じブースにFCVを出展していた。トヨタは、昨年の東京モーターショーに展示した「TOYOTA FCV CONCEPT」、ホンダは2008年にリース車として市場導入している「FCXクラリティ」、日産は2005年に発表の「X-TRAIL FCV」という3台のFCVだ。

では、来年2015年の市場導入1年を控えた現在、各自動車メーカーのFCVの開発状況はどうなっているのだろうか? トヨタは、昨年10月に「先進技術説明会」を実施。そこで2015年の市販に向けて開発中のFCVを公開した。その試作車に搭載された燃料電池スタックは、2008年に発表されたトヨタ『FCHV-adv』よりも出力密度は2倍以上の3kW/lに進化。さらに小型化も進んでいる。そして、1億円と噂された燃料電池システムは20分の1(500万円)ほどを目標にコストダウンを進めているという。

ホンダは、2013年11月のロサンゼルスオートショーにて新型のFCVである「Honda FCEV CONCEPT」を発表。燃料電池スタックは、従来よりも約33%も小型化し、100kWの高出力と、トヨタ同様の3kW/lを実現。2015年の販売価格は車両1台あたり1000万円以下を目指すという。

2015年に向けて着々と準備されるトヨタとホンダに対して、日産の導入は2017年になるという。しかし、FCVの開発はしっかりと進んでおり、耐久性向上や燃料電池スタックの小型化、低コスト化も量産に向けた自信をうかがうことができた。

つまりFCVの車両側の開発はそれなりに進んでおり、2015年には、新しいモデルが導入されるのは間違いない。また、問題となるコストも、本格導入がスタートして量産効果が出れば、確実に低減化できる。クルマ側の展望は案外楽観視しても良いのではないだろうか。


◆水素ステーションの建設は遅れを見せる

一方、気になるのは水素インフラの状況だ。目標は「2015年に100か所程度」であった。しかし、現状では試験用に17か所の水素スタンドが運営されているだけ。しかも、そのスタンドは商用ではない。商用として国の補助制度である平成25年度の「燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」で交付が決まったのは、わずか19か所にとどまった。

つまり、現実のところ「2015年に100か所」という目標の達成は難しそうだ。しかも、水素の充填方法として、プレクール(水素を冷やして充填する)や車両と充填スタンドとの通信の規格が決定していないという問題もある。

「HySUTは、そうした充填に必要な技術の実証を行っています。それぞれの要素技術は、すでに出来上がっており、それらを組み合わせて使ったときに問題が出ないかどうかを検証しているところです」と、HySUTの技術本部長である北中正宣氏は説明する。

つまり技術的には、それなりの進捗があり、今は最終的な確認の段階だという。それでも水素ステーションの建設と技術的な検証は並行で進行しそうだと北中氏は言う。また、水素ステーション建設のための国からの補助金は増額される見通しだ。つまり、最初のつまずきはあるもしれないが、技術的な問題もすぐにクリアとなり、補助金の増加も水素ステーション普及の加勢になるという状況だ。

しかし、燃料電池車普及に設けられた目標は高い。燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)は2010年に「2025年にFCV200万台、水素ステーション1000か所」という目標を設定した。正直、2015年からの10年間で200万台の普及は、本当に厳しい数字だと思う。毎月FCVが1万台売れても、年間で12万台にしか届かない。当然、最初の数年は、それほど大きく売れないだろうから、10年間の後半で、相当なヒット車にならないと難しいからだ。

実際、その目標は達成できないかもしれない。しかし、だからといって「FCVは失敗だ」と言うのも誤りだ。世界に目を向ければ、2015年にFCVを先んじて市場に導入する意義は高い。ポスト化石燃料時代を見据えたとき、燃料電池技術は、日本にとってどうしてもモノにすべき技術だからだ。歩みが遅くても確実に一歩ずつ前進していればよしとすべきなのではないだろうか。
《鈴木ケンイチ》

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