【スマートモビリティアジア13】エネルギーはいつでもどこでも入手可能になる…九州大学 佐々木一成教授

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九州大学 佐々木一成教授の講演(スマートモビリティアジア13)
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スマートモビリティアジア13では、燃料電池に着目した。国内でも有数の燃料電池研究施設を持つ九州大学伊都キャンパスにて行われた講演に、九州大学教授で次世代燃料電池産学連携研究センター長も務める佐々木一成氏が登壇した。

燃料電池とは

佐々木氏ははじめに、燃料電池について解説を行った。「日本のエネルギーインフラをどうするか、というところで燃料電池が出てきます。簡単にいうと、エネルギー源になるものが電池の中に入っていないのが燃料電池。つまりエネルギー源を外から入れないといけない。逆に言うと、外から入れる事ができれば持続して利用できるということです」と説明。

これまでは、化石燃料を始めとして、燃やすことでエネルギーを取り出していた。「ニューコメンの蒸気機関の開発は1712年、当時の効率は約1%でした。ガソリンエンジンの開発は1876年、実運転で数十%の変換効率。エネルギーは取り出すまでに、さまざまなロスが発生しています」(佐々木氏)と指摘した。

このままで良いのか…良くない

佐々木氏は「ではエネルギーの利用はこのままで良いのかという問題で、効率をあげる必要があるということ」と話す。

燃料電池車は車両効率が約60%、定置用高効率発電機では、家庭での発電効率約40%など、効率が高まっているという。電気科学システムを使う電池は、「小さな発電規模でもロスの無駄を少なくすることができるのが大きなメリット」(佐々木氏)とした。

燃料電池の発電効率はまだまだ伸びる

燃料電池の発電効率はまだまだ向上するという。大規模発電施設での発電効率約60%といった数字は現実的なものとなっている。あわせて、燃料電池の市場創出については、富士経済によると世界で5兆1843億円(2025年)と試算されていることを紹介。これは2011年の699億円からの大幅増額で、エネルギーの取り出し効率向上とビジネス面での市場拡大は今後急速に進む見通しだ。

佐々木氏は、燃料電池の簡易な仕組みを目の当たりにしてもらうため、太陽電池を利用し水素を発生させ、水素での発電まで行なう実験を簡単に披露した。「基本的な仕組みは難しくない」(佐々木氏)とし、燃料電池が身近な存在であることを強調した。

こうした燃料電池分野での九州大学の取り組みとして「将来の燃料電池の研究開発を先導していける研究者が集まっている」と話す。「大学の中に企業の研究所を作れ、産学官の連携体制を整えることができる。学生の育成、今後の研究者の育成にも取り組んでいる」とアピールした。

CO2ゼロの再生可能水素エネルギー

佐々木氏は、日本のエネルギー政策の課題として「高効率変換がポイント。そして世の中に実用化されること。そこから日本が海外に頼らないエネルギー貯蔵をどのように実現するかということも課題」とした。

「エネルギー事業は多様化へ。水素燃料電池が実現すると、垣根が無くなっていきます。チャンスと競争が発生するということですね。これはエネルギーの考え方を根本的に変える可能性があります」と可能性を示唆。「情報とエネルギーは同じ方向へ向かいます。いつでもどこでも情報を入手できるようになりましたが、エネルギーも、いつでもどこでも入手できる社会になります」とまとめた。

《土屋篤司》

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