JR西日本、大阪環状線や広島地区の車両更新へ……中期経営計画に盛り込む

鉄道 企業動向

JR西日本が3月13日に発表した2013~2017年度の中期経営計画では、無線式制御システムや軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の開発、大阪環状線や広島地区の車両更新、新たな豪華列車の導入など、さまざまな新機軸が盛り込まれた。

無線式制御システムは、列車の位置検知などの情報を無線によってやりとりするもの。欧州の統一列車制御システム「European Train Control System(ETCS)」のLevel2やLevel3で採用されているほか、JR東日本が開発した保安装置「Advanced Train Administration and Communications System(ATACS)」も無線式が採用されており、2011年から宮城県の仙石線で使用されている。

無線式は、レールを使った軌道回路による従来型のシステムに比べ、きめ細かな列車制御ができる。また、地上設備を大幅に簡略化することも可能で、メンテナンスの低減に大きな効果があるとされている。

フリーゲージトレインは、車輪の幅を変化させることで、レールの幅(軌間)が異なる鉄道の直通運転を可能とする車両。スペインでは、動力装置が付いていない客車によるフリーゲージトレインが古くから実用化されており、近年は動力付きの電車によるフリーゲージトレインも運転されている。日本では、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が主体となって、新幹線(軌間1435mm)と在来線(1067mm)の直通列車用として開発が進められており、現在は2次試験車による試験運転が行われている。

JR西日本の中期経営計画では、フリーゲージトレインについて「実用化に向けた北陸ルート仕様の技術調査」「試験車の設計・製作と走行試験の実施」を盛り込んでおり、北陸新幹線と在来線の直通運転を視野に入れている。

北陸新幹線は現在、長野~金沢間が2015年春の開業を目指して工事中で、金沢~敦賀間も2025年度中の開業を目指して着手したばかりだが、敦賀~大阪間は着工のめどがたっていない。このため、新幹線の敦賀開業時点では大阪方が在来線、金沢方が新幹線に分かれ、大阪方面から金沢方面への移動は、敦賀駅での乗り換えが必要になる。

こうしたことから、敦賀開業時点の暫定措置としてフリーゲージトレインを導入し、大阪方面から金沢方面に向かう特急の直通運転を維持することが考えられているが、従来の試験車は降雪地帯での走行対策などが盛り込まれていないため、JR西日本は「北陸ルート仕様」の開発を本格化させる。

近畿エリアでは、大阪環状線の車両新製が盛り込まれた。現在の大阪環状線は、関西本線や阪和線に直通する「大和路快速」「関空快速」などが、JR発足後に製造された221系や223系で運転されているが、環状線内で運転されている列車は老朽化が著しい旧国鉄車の103系などが主に使われており、新型車両の投入でこれらを置き換えることが見込まれる。このほか、三ノ宮、新大阪、天王寺各駅のリニューアルなども盛り込まれた。

その他のエリアでは、旧国鉄車が多数運転されている広島地区の車両更新を盛り込んだほか、「新たな豪華列車」の導入により地域と一体となった観光振興の推進を図る。また、「地域と課題を共有し最適な輸送モード等の検討を通じ、持続可能な地域交通のあるべき姿を追求」するとしており、バスなど鉄道以外の輸送モードへの転換が一部のローカル線などで検討されるものとみられる。
《草町義和》

《PR》関連記事

編集部おすすめのニュース

特集

おすすめの商品