富士通テンは、2012年の秋モデルとして新型のカーナビゲーション、イクリプス『AVN-F02i』『AVN-G02』を投入。さらに、これらと組み合わせて利用できる9型のVGA後席用モニター『RSE0912』もラインナップした。
AVN-F02i、AVN-G02ともに、ワイドVGA+フルセグ+DVD、さらに後席リアモニターへの対応といった拡張性も備え、普及価格帯でありながら充実した機能を持つ量販モデルだ。また、AVN-F02iは、BluetoothやiPhone連携という、昨今のトレンドもいえる“つながる”機能で、使い勝手を高めている。
RSE0912は、夏モデルとしてすでに投入されている9型の大画面フラッグシップ“ULTRA AVN”こと『AVN-ZX02i』と組み合わせることで前後9型大画面というエンターテインメントシステムが完成する。
これらの秋の商品群によって、富士通テンは他社モデルとどのような差別化を図ったのか。今回のインタビューでは、新たに追加された後席用モニターの話題を中心に、ハードウェアを担当する CI技術本部製品仕様企画チームの大野恭裕氏に話を聞いた。
◆首振り機構を備えた9型大画面VGA後席用モニター
----:夏モデルは「使いやすさ楽しさ最大級」というメッセージで、ニンテンドーDSとの連携など「Zクラス」(『AVN-ZX02i』『AVN-Z02i』)のような上位モデルを投入し、今回の秋モデルではボリュームゾーンとなるベーシックモデルの商品力強化を図ってきましたが、その狙いについてお聞かせください。
大野:我々としては夏と秋、2つの時期で1年間トータルと考えていて、まずはAVNの市場を広げていくという意味でインパクトのある製品を投入。続けて、量販価格帯でコストパフォーマンスに優れた製品を投入しようという狙いがあります。
----:後席用モニターのRSE0912は、上位モデルのZクラスだけでなく、AVN-F02i・AVN-G02にも対応させましたね。
大野:これは下位モデルのAVN Liteとの差別化の一つです。AVN-F02iおよびAVN-G02はDVDやフルセグに対応していますので後席シートで迫力のあるキレイな映像を楽しんでもらえるようにしています。
----:RSE0912は、9型の大画面と市販品唯一の首振り機構がユニークですね。
大野:後席シートでは座る位置によって、モニターを斜めから見ることになり、見にくいといった声がありましたので、どの席からでも映像が楽しめるように首振り機構を導入しました。
----:左右の首振り機能はどの程度まで回転しますか。
大野:左右ともに最大で30度です。車種別の取付キットもご用意しておりまして、現状ではトヨタが『アルファード』『ヴェルファイア』『ノア』『ヴォクシー』『エスティマ』『エスティマハイブリッド』、ホンダは『ステップワゴン』『ステップワゴンスパーダ』、日産が『セレナ』となっています。
----:売れ筋のミドル〜ラージサイズミニバンに向けて取りそろえたという形ですね。
大野:はい。後席モニターの需要が多い車種を優先に検討しました。
◆「クルマでDS」&後席用モニターで家族ドライブをもっと楽しく
----:富士通テンではこの夏に、渋滞にはまった際に家族でイライラしたことがある人が3割もいる、という調査結果を発表されていましたね。私も年に何度か3〜4泊の長距離ドライブ旅行をするのですが、やっぱり渋滞にはまったりすると、子供が退屈して泣き出してしまい、それをあやす妻が不機嫌になるというのがいつものパターンです。
大野:おっしゃる通り、クルマの中でご家族がどう過ごすか、ということを考えた時にその解決策として実際の商品として出したものが、“ULTRA AVN”ことAVN-ZX02iの『クルマでDS』であり、この秋に発表した『RSE0912』といえますね。
----:RSE0912については、AVN-ZX02iとの組み合わせでは前9型・後9型の大画面コンビネーションなので地図表示では広く見やすく、映画などの映像コンテンツでは迫力が増しそうです。
大野:やはり7型クラスと比べれば大きさは圧倒的ですね。AVN-ZX02iであれば、ご家族で「クルマでDS」を楽しんだ後は、後席用モニターで映画やアニメを見て過ごす、といったように長時間のドライブでもお子さんを飽きさせずに済むと思います。
《聞き手 北島友和》