ダイハツブースのコンセプトカー群のなかで独自の存在感を放っていたのは、前後2人乗りのEVミニカー『PICO(ピコ)』だ。全幅1m、全長2.4mという超コンパクト四輪車で、軽自動車と電動シニアカーの中間的存在である。
「ユーザーの皆様の意見を聞いてみたいと思って、東京モーターショー前にピコをいろいろなところに持って行ったんです。すると、限界集落のような交通の不便なところに住まわれている方々から『こういう乗り物がぜひ欲しい』と、こんなのはいかがですかと言う前から口々に言われました」(ピコの企画担当者)
日頃の足が欲しい高齢者に運転上気になることは何かと聞いたところ、目立った意見として出てきたのが自分の運転ミスで事故を起こし、誰かを怪我させてしまうことなのだという。
「ピコはクルマとしてはとても簡素ですが、レーダーセンサーを搭載していて、人が飛び出したりクルマが接近したりといったときにはクルマの周囲に取り付けた『コミュニケーションベルト』でアラートを出し、また自動停止などで自律的に危険も回避する機能を備えています。ぜひそのへんも見ていただきたいところです」
こういうクルマが普及するためには運転免許や道路関連の法律、税制など社会環境が新しいモビリティに対応するよう変わっていく必要がある。ピコはその変革を促すだけの提案性を持ったコンセプトカーと言える。