ダイハツ『コペン』次世代提案は1.3L、FR、モータースポーツも視野に…ジャパンモビリティショー2023

ダイハツ ビジョンコペン
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ダイハツジャパンモビリティショー2023にオープンスポーツカー『コペン』のスタディモデル、『ビジョンコペン』を出展。マーケティングリサーチを行い、次期型の構想につなげたいようだ。そこでまずはデザイナーにビジョンコペンに込めた思いを聞いてみた。

ダイハツデザイン部第一デザインクリエイト室VISION DESIGN Gr.の森本凌平さんダイハツデザイン部第一デザインクリエイト室VISION DESIGN Gr.の森本凌平さん

◆コペンを絶やさないために

----:今回出展されたビジョンコペンですが、そもそもの成り立ちを教えてください。

ダイハツデザイン部第一デザインクリエイト室VISION DESIGN Gr.の森本凌平さん(以下敬称略):初代コペンのお気軽な雰囲気、愛嬌のある表情を今回のコンセプトカーでも踏襲しています。1.3リットルの小型車サイズで、レイアウトはFRです。そこでFRスポーツカーらしさや、色気も合わせて表現していくことをコンセプトにデザインしました。

ダイハツとしてはコペンを絶やしたくないという思いが強くありますので、今回のショーの反響を見ながら、今後どういうコペンを作っていくべきかを様々な方向で議論していきたいと思っています。

----:このモデルは1.3リットルエンジンということですが、コペンといえば軽自動車のスポーツカーというイメージがすごく強いのですが。

森本:これはモータースポーツをより楽しんでもらえるように、1.3リットルの小型サイズにすることで、さらに安全面も走行性能もレベルアップした形で提案できれば、喜んでいただけるお客様も多くいらっしゃるのではないかという考えです。

ダイハツ ビジョンコペンダイハツ ビジョンコペン

ダイハツコーポレート統括本部LYU・ブランド推進室DAIHATSU GAZOO Racing G 営業CS本部国内商品企画部主査の殿村裕一さん:ダイハツとしてモータースポーツの活動が始まっていますので、走る喜び方向に思いっきり振ってみたらどうなのかというところで、ダイハツが似合うAセグメントぐらいまでの大きさで表現しています。後輪駆動や、元々持っている四隅に手が届く操作感みたいなところを残しながら、走る喜びを思いっきり表現したらどうなるかという提案です。

実は一般公開日にこのモデルの周りにタブレットを3台置いて皆さんの意見を聞くウェブ調査をやっています。その質問には、軽ではないけれどいかがですかとか、後輪駆動ですがどうですかといった、このビジョンに対して皆さんがどう思っているかというご意見を聞くものです。そこから、皆さんと一緒にこのクルマを盛り上げて育てて、それがゆくゆく発売につながるとすごい良いなと思っています。

◆お皿の上に乗ったお椀を伏せたイメージは変わらずに

----:ではデザイン的なこだわりを教えてください。

森本:初代コペンはお皿の上にお椀を伏せた形が大きな造形のテーマでした。このモデルもそこは踏襲しています。また、フードを低く見せるためにボンネットの上にカット造形を入れて、そのカットした後に少し盛り上げることでフードバルジのような、中のエンジンを感じさせるような印象を与えています。

ダイハツ コペン(初代)ダイハツ コペン(初代)ダイハツ ビジョンコペンダイハツ ビジョンコペン

同時に灯火器類やグリルなどの全てがカットした造形の上に配置することで、より要素が整理されて見えるようにしました。例えば、カットされているところにヘッドランプがはまっている。カットしたところにグリルがある。カットしたところにフォグがある。そういう同じリズムを使うことで、より洗練された雰囲気も出せるのではないかとトライしています。

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----:グリルが面構成のひとつとして使われているのも特徴的ですね。

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森本:よりシンプルに見せたかったのです。10年先でも流行り廃りなく乗っていただけるような、そういうクルマを目指したのです。初代コペンもそういうことに左右されないデザインだと思っていますから。

先程お椀を伏せた形に、カットを施しているとお話しましたが、カットしていないところでもサイズを見せる工夫をしています。サイドから見た時にしっかり前後に峰が通っていることです。サイズ感がしっかりわかるようになっています。具体的にはヘッドライトの真ん中を通って、ドアミラーの上の部分を抜けて、リアコンビの真ん中を通るようにしています。少し弓なりの3D的なボリュームがサイドから見た時に感じられるようにしました。

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◆サイズアップしたからできたこと

----:今回軽枠にとらわれなくなったことで、特にリア周りはフェンダーを膨らませてスタンスよく見せていますね。

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森本:そうですね。そこはFRらしさ、スポーツカーらしさとしてすごくこだわったところです。クルマを上から見たときにリアの上部をグッと絞った分、リアフェンダーを張り出させて、そこのクビレが色気につながるなどをすごく吟味にしながら作りました。

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もう一点、FRスポーツカーらしさというところでいうと、トランクリッドの中央部を少し削ぐことでその周りをこんもりさせて張り出させることで、リアフェンダーやリア周りにしっかりトラクションがかかっているように感じさせるプロポーションにもこだわっています。

そのほか、初代コペンから踏襲している丸目を意識して、ヘッドランプやテールランプは“C”にしています。まさにコペンのCです。

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----:ホイールも特徴的ですね。

森本:あくまでもコンセプトカーなので、機能しているわけではありませんが、スポーツカーのホイールは軽量にしたいですよね。そこで黒で見えているメインのスポークたちは、できるだけ肉を削いで軽くして、足りない強度の補強としてワイヤーを入れています。実は初代コペンのアルミホイールも6本スポークだったので、それをワイヤーで表現して、しっかりとオマージュしているというところも訴求しました。このジオメトリックな雰囲気とディテールは、建築に使われている部品みたいな雰囲気もあり、すごく丹精なイメージも持たせています。

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◆目的で明暗を分けで

----:インテリアはいかがですか。

森本:インテリアはドライバーの前は真っ暗なんですけど、外側からインテリアを見ると明るいんです。これは運転している時に必要な情報以外をできるだけ排除したい。なので必要ないものの存在感を消しながら運転に集中できる環境を作るというところをコンセプトにしました。ですので前は暗くて、人がいるところは少し明るいイメージになっています。

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★ジャパンモビリティショーは、従来の東京モーターショーにモビリティの枠を超えて他産業やスタートアップなども加わり、装いを新たに開催するもの。一般公開は28日から11月5日まで、主催は日本自動車工業会。


ダイハツ コペン 特集
https://response.jp/special/recent/1239/
ジャパンモビリティショー2023 特別編集
https://response.jp/special/recent/4115/
《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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