[プリウス プラグインHV エコラン]エネルギー回収が最大のポイント

エコカー ハイブリッド
茨城県北部の里美で行われたエコラン大会スタート直前の様子。プリウスPHVが並ぶ様は壮観だ。
  • 茨城県北部の里美で行われたエコラン大会スタート直前の様子。プリウスPHVが並ぶ様は壮観だ。
  • 下り坂では「Bレンジ」に入れしっかりとエネルギー回生をおこなう。
  • EV走行をしている限り燃費計の表示は「99.9km/リットル」だ。電池残量に気をつけながら走る。
  • 第1チェックポイントの養鶏場。ライバルもほぼ同時に到着。
  • 生みたての卵をゲット。割らずに持ち帰るのもオリエンテーリングの条件だ。
  • 第2チェックポイントの古民家。宿泊することもできるGAZOO muraならではの穴場スポットだ。
  • 第3チェックポイントの泉福寺を出発するチームレスポンス。
  • ラストのチェックポイント。制限時間が差し迫る焦りで、カメラマンは置いて行かれそうになる。

自動車ポータルサイト「GAZOO」が紹介する田舎ドライブスポット「ガズームラ」のひとつ、茨城県北部の里美で、トヨタ自動車が昨年リース販売を開始したプラグインハイブリッドカー『プリウス プラグインハイブリッド(PHV)』のメディア対抗エコラン大会が行われた。

コースは2つ。まずは里美地区の中央にある里美ふれあい館を出発し、道の駅さとみ、泉福寺、平飼いの養鶏場、横川の下滝、古民家の5つのチェックポイントを通過してスタート地点に戻るという27kmあまりのオリエンテーリング。次に里美ふれあい館を出発して標高800mの里美牧場内に設置されたウインドファーム(風力発電グリッド)まで標高差約600mを一気に駆け上がる約12kmのコースを走る。

最初のオリエンテーリングコースは、車載リチウムイオン電池がフル充電された状態で走る。電力量は2.6kWhで、それを使い果たした後はエンジンがかかり、ハイブリッド走行するという算段だ。チームレスポンスはバッテリーの電力だけでこのコースを走り切ることを目標とした。

電力消費率が1kWhあたり10kmを少し超えるくらいでないと、EV走行オンリーでの走破は達成できない。そこで先日、三菱『i-MiEV』のエコラン大会に参加したとき、元パリ・ダカールラリーのチャンピオンである増岡浩氏から教えてもらったEVのエコランのコツ(登坂時に速度維持のためアクセルを踏むより平地で加速して惰性を利用したほうがいい、効率の良い速度レンジはガソリン車より低い、etc)をフルに活用して走った。

一見平地のような里美地区だが、起伏は思ったよりキツい。プリウスPHVのインパネにはEV走行可能距離を示すバッテリー残量計(23.4kmから減算される)が表示されている。少し急な登り坂に差し掛かると、その数字が100m単位でみるみる減る。最もきつかったのは横川の下滝の急勾配で、それこそ10m走るごとに航続距離残が100m減っていくという状況だった。

逆に、下り坂ではエネルギー回生で発生した電力がバッテリーに蓄えられ、その数値が増えていく。とくにプリウスPHVは「大型バッテリーを搭載しているため、回生エネルギーはノーマルのプリウスより豊富」(開発責任者の田中義和氏)とのことで、すこし強めにブレーキをかけてもディスクブレーキは最小限にしか機能せず、ほとんどをエネルギー回収できる。

前述の横川の下滝への道を走った時は、登りで散々エネルギーを使い、少なくなったバッテリーの残量を下り道で相当回復させることができた。また、チームレスポンスはプリウスのシステムに不慣れであったが、試しにシフトレバーを「Bレンジ」に入れてみるとエネルギーモニタ上で回生量が増えるように見えたため、緩い下り坂でもこまめにBレンジを活用した。

結局、チームレスポンスはエンジンを一度もかけずにバッテリーの電力のみで全コースを走破することに成功した。ゴール時のEV走行可能距離の残量は0.7kmで、10チーム中トップであった。3名乗車のハンディをはねのけて好成績を達成できたのは、エネルギー回収に相当気を配ったことと、最後はタイムオーバーしてしまうのではないかと心配になるほど時間制限ギリギリに滑り込んだことによる平均車速の抑制と考えられる。(つづく)

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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