i-MiEV エコラン大会…充電スタンド5か所を踏破、電費8.1km/kWh

エコカー EV
横浜横須賀道路、横須賀PAで充電中のiMiEV
  • 横浜横須賀道路、横須賀PAで充電中のiMiEV
  • 5か所の充電スポットをめぐり、4回充電を試した
  • 中間地点の観音崎・京急ホテルで一休みのi-MiEV
  • 高速走行を行うと空気抵抗が大きくなるため消費電力が増えてしまう
  • 横浜ランドマークタワーの地下駐車場にある充電スポット
  • ふと立ち寄った首都高速平和島PAにも急速充電器があった
  • 高速道で心地よい加速を楽しむ。だが、みるみる残された電力は減って行く…
  • 「たくさん充電したで賞」を頂戴し、大会委員長の増岡弘氏(右)と握手する筆者

三菱自動車『i-MiEV』を使ったメディア対抗エコラン大会に参加したレスポンスチーム。東京・田町の三菱自動車本社から神奈川・観音崎の往復での電力消費率を競うという趣旨だったが、我々は電費を気にしつつ急速充電スポットを巡ることにした。田町から神奈川・上郷までを走ったところで約50kmを走破、2か所の充電スポットを訪れていた。

横浜横須賀道路に乗って三浦半島先端へ行く途中、今度は横須賀パーキングエリアで充電。この時も80%まで充電したのだが、またしてもアクセルひと踏みで残量が1個減少。合計で10目盛り分(実質8目盛り分)の電力を消費しながら、チェックポイントの観音崎へ滑り込んだ。そこで三菱関係者から、トップチームはわずか5目盛りで観音崎に到達したことを知らさせた。

あちこち寄り道をしている関係上、レスポンスチームのほうが長距離を走っているにしても、トップチームの成績はあまりに優秀。どうやら田町と観音崎間、往復120kmあまりを無充電で走り切る作戦のようだ。エコランでの競い合いを諦めたチームレスポンス、趣を変えて帰路ではi-MiEVの素晴らしい加速感を存分に味わった。

i-MiEVは次世代エコカーだが、最大の魅力は実はその走りにある。経済速度は「普通のクルマより低く、25 - 40km/hあたりが一番効率が良いと技術部門から聞いている」(元パリ・ダカールラリー優勝者、増岡浩氏)とのことだが、飛ばし気味に走れば走るほど楽しさがどんどん増すという特性も併せ持っている。電力消費率が悪化することを承知で有料道路への合流などでフルスロットルをくれると、新幹線のぞみ号に似た「シュイーン」という音を立て、「軽にしては」という断り書きが不要なほど素晴らしい加速を見せるのだ。

存分に走りを楽しんだ代償として、バッテリー残量計のゲージはどんどん降下していく。そこでチームレスポンスは、万が一にもバッテリー切れとならないよう、横浜のランドマークタワー地下駐車場の急速充電器で、少しだけ最後の充電を行った。最終目的地の三菱自動車本社まで、首都高速1号線で向かっていたのだが、ゴールに近づいてきた頃、たまたま平和島パーキングエリアに立ち寄ってみたら、何とそこにも急速充電器が設置されていた。

10時から17時までで競われたエコラン大会。結局、チームレスポンスは5か所の急速充電スポットを周遊しながら全行程で146km弱を走行し、バッテリーからの消費電力量は18目盛り、すなわち18kWh。電力量1kWhあたりの走行距離は、およそ8.1kmという結果に終わった。ただし、80%充電時に2目盛りほど損をしているため、実質的には9.1km程度となる。ちょうどフル充電時の16kWhをフルに使えば、140km以上走れる計算だ。帰路に走りを存分に楽しんだわりには、結構良好な数値であったと言えよう。

トップはオール一般道を走ったチームで、何と10・15モードを超える10.4km/kWhという素晴らしい数値だった。バッテリー性能やコスト、充電インフラを含め、まだまだ進化途上のEVではある。しかし近距離主体なら思ったより使えるなというのが、率直な印象だった。

現在東京・神奈川エリアでの急速充電設備は約75か所(三菱自動車調べ)。今回のコースでは特に血眼になって充電設備を探す必要もなく、余裕を持って電力の補充を行うことができた。電池容量による制限から航続距離がガソリン車より短くとも、「いつでも充電できる」という安心感がEV普及への大きな後押しとなることは間違いないだろう。そう実感させられた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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