3月、スイスのジュネーブモーターショーでマツダが公開した新型『マツダ3』(日本名:『アクセラ』)に実装された新世代アイドリングストップシステム「i-STOP(アイストップ)」。アイストップの注目点は、何と言ってもコストの安さだろう。
クルマが動いていないときに効果的にエンジンを停止させるのは一見原始的手法に思えるが、ゴー・ストップの多い交通状況では燃費を1割ほど向上させるという、エネルギー使用量削減にはかなり効果的なデバイスだ。
同社の次世代パワートレインなどの開発に携わる猿渡健一郎氏は、「現時点ではDSC(車両安定装置)とのパッケージオプションになる予定であるため、5万 - 6万円の価格アップになる見通しですが、アイストップ自体の価格は1万円を下回るレベルにまで持って行きたいと考えています」
「それを実現できればユーザーのコストメリットは大きくなりますし、将来的に直噴エンジン搭載車はアイストップを標準装備とすることも可能になる。ぜひそうしたい」とアイストップの普及に意欲を見せる。
クルマのエンジンの熱効率はすでに理論上の天井にかなり接近しており、パワートレインの効率化による燃費の大幅な向上は以前に比べて難しくなってきている。エンジン技術者が1件あたり0.01%単位の燃費向上策を必死に積み重ね、数%の向上という“快挙”をモノにしているというのが現場の実情だ。
そのようななかで、10%前後の燃費向上効果があるとされるアイストップは、結構な大物テクノロジー。実際のドライブでの燃費が楽しみだ。