【池原照雄の単眼複眼】トヨタが軽対抗のグローバルスモールカー

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VI活動の真価を問うコストに

トヨタ自動車が2008年をめどに、低価格で燃費性能にも優れるコンパクトカーを世界市場に投入する見通しだ。国内では市場の3分の1を占めるに至った軽自動車と対抗しうる商品設計とする。また、EU域内でのCO2(2酸化炭素)「140グラム規制」をクリアするための戦略車種ともなりそうだ。

この新モデルは、排気量1.0リットルクラス。ダイハツ工業と共同開発し「トヨタ最小」と謳われている『パッソ』よりも、さらに低価格を目指す。トヨタが昨年から始めた新しい原価低減活動「VI(バリュー・イノベーション)」で徹底的にコストを削ぎ落とすことにしており、VI活動の真価を問うモデルとも位置づけられる。

◆不振の除軽市場対策が急務

少子高齢化時代を先取りするように国内の新車需要は伸び悩みが顕著となってきた。そのなかで、軽自動車市場は昨年192万台と、2年連続で過去最高を更新し、女性や複数保有世帯からの根強い支持基盤を固めている。

軽自動車ではダイハツが首位のスズキを猛追しており、シェアも急上昇中だ。グループでは拡大する市場をしっかりと確保している。だが、トヨタにしてみれば「それはそれ」(国内営業担当役員)であり、伸び悩む除軽市場へのテコ入れは、トヨタ系ディーラー対策としても急務になっている。

一方で欧州では08年から排ガス規制「EURO5」の施行とともに、業界がEU委員会と自主規制で合意したCO2のメーカー別総量規制も実施される(日本メーカーは09年から)。これは販売する車両の台当たり平均で、1km走行当たりのCO2排出量を140gに抑制するものだ。

◆IMVのようなグローバルカーに

現状ではEU域内での日本車の平均は170g水準とされ、各社ともコンパクトカーの拡充や、CO2排出量が少ないディーゼルエンジン搭載車の拡大を迫られている。トヨタは欧州向けに『ヤリス』(日本名ヴィッツ)やPSA(プジョー・シトロエン・グループ)との合弁生産車『アイゴ』といった低燃費のコンパクトカーを擁すものの、「140グラム」規制の達成にはもうひと押し必要となる。

今後、排気量の大きい「レクサス」ブランドを増販するためにも、低排ガスを実現したスモールカーの量的な援護が欠かせない。開発中の新モデルは、04年に投入し今年は世界で70万台の生産が計画されている「IMV」シリーズのようなグローバルカーになるという。コストと技術の両面からエポックメーキングなクルマとなりそうで、国内外のコンパクトカー市場に衝撃をもたらす可能性大だ。

《池原照雄》

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