MINI CROSSOVER PHEV

vol.9 三瀬 夏之介さん東北芸術工科大学芸術研究科長 美術科教授

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vol.9 三瀬 夏之介さん東北芸術工科大学芸術研究科長 美術科教授

“伝統と革新”を探りに北へ

Vol.9は、秋の装いを感じさせる山形県から。
今回ご試乗いただくのは、東北芸術工科大学の教授、三瀬夏之介さん。

五島記念文化賞を受賞し、フィレンツェにも滞在されていた三瀬教授。現在では、東北芸術工科大学芸術工学研究科長美術科(日本画)教授として山形県を拠点に活動中だ。
「日本画とは何か」を問いながら絵画の可能性を追求し続けている三瀬教授。
彼の作品は、和紙や墨、金箔など伝統的な日本画の素材のほかに、アクリル絵の具やインクジェットプリントのコラージュなど、これまでの日本画の範疇を超え、また日本画の印象を覆すインパクトある作品を発表し続けている。

今回のインタビュアーは、スウェーデン出身で、現在カリグラフィー&ハンド レタリング アーティストとして注目されるレターボーイさん。
ともにアーティストであるふたりが、現在の“アート”というカテゴリーから、MINIというブランド、そしてデザインをどう見ているのか、早速ご覧いただきたい。

MINI × レスポンス

日本画が、何かを知っている

山形市東側の丘陵地帯に建つ東北芸術工科大学。東北唯一の芸術系大学として現在2400人の生徒が学ぶ。三角屋根の本館が際立ち、その両側には建物が並ぶ。この中に三瀬教授の部屋はあった。

まず三瀬研究室前に飾られているのは、横2.5m縦2.0mの大きな自作品。日本の誕生をイメージした作品ということで、大仏の頭部から日本の起源を彷彿とさせる様々なものが吹き出す様子が描かれている。レターボーイさんも足を止めて見入ってしまうほど、実にインパクト強い作品だ。

10年前に山形へ来て、東日本大震災も体験したという三瀬教授は、今では生徒たちと東北から発信できる新たな日本的美術を模索している最中と話す。

MINI × レスポンス

レターボーイさん、さっそく日本画の魅力とは何かを、三瀬教授に聞いて見た。
「日本画は、その時の日本を鏡のように写すことだと思っています。その瞬間を切り取るという日本画の特徴に僕は感銘を受けました。」

一方、エンジニア家系に生まれたレターボーイさん。祖父がペインターだったことに影響を受け、その後レター・シェイプ(フォントの書き方)に興味を持ったのがきっかけと話す。
三瀬教授の部屋では、日本画に用いる筆をはじめ、数々の美術道具に興味津々。使い方から、素材は何かまで熱心に耳を傾ける。

日本画は自由ではない

ところで、三瀬先生の考えるアートとは一体何なのか?

MINI × レスポンス

「まず日本画の観点かお話するとすれば、日本とは“富士山、芸者、侍”といったようなステレオタイプのイメージだけではないです。日本は意外と広いです。そして北から南まで、各所に多大な文化、そして感性が根付いています。そこをじっくり捉えて見ると、都市圏では自然は制御されていく存在。例えば僕の故郷奈良では、その歴史の中で人間が以下に自然をコントロールするか、が重要でした。しかしここ東北では“自然”という存在がとてつもなく大きくて強い。だからここではアートは“自然”と“人間環境”の間で育まれる、そして共存していくと考えます。」

アートとは既存イメージを修正しながらも、文化との共存に重きを置く・・・
まさしくMINIとリンクする考え方だ。これは、ますます興味を惹かれる。

「これはあまり話さないのですが、僕は日本画でとても重要なのは水だと考えています。勝手に滲んだり、ぼけたり、水の特徴です。でも自分では描けないような表現があり、そこからイマジネーションが湧き、自分のオリジナルのエッセンスを追加していく。その繰り返し、いわば水とのセッション“対話”です。塗料素材は鉱物、そして植物繊維の和紙に表現していく。つまり日本画はいつでも土に帰れるアートなのです。しかも水が主体なので、言って見れば人間そのもの、ですね。」

MINI × レスポンス

レターボーイさん、三瀬教授の話に聞き入る。さらに三瀬教授の話は続く。

「この絵も“対話”で描き上げています。日本と何か?日本人とは何か?を考えながら、そして絵を見ている人とも対話しながら完成させています。そこに日本画の魅力があると考えています。」

対話を楽しみながら作られる作品。とてもいい感じだ。MINIのデザインにも、そう言った楽しみが隠されていることは、見ればわかる。
ただ、日本画はある意味で自由ではないという。制約や伝統的な“間”だったり、そして時代のニーズや、考え方など、それを如何にして試行錯誤するか、そこにこそ“伝統と革新”が存在するのだ、と三瀬教授は加える。

「MINIであれば、例えば空力を突き詰めるとか、全ての機能を時代に沿わすのではなく、MINIの持っている本来の財産、本質を上手にブランドイメージとして高める。そして表現自体を徐々に変えていく。それがMINIの“伝統と革新”の部分ではないかと考えます。」

MINI × レスポンス

そしてレターボーイさんの考えはこうだ。
「MINIの歴史はあらゆる角度から見てもとても面白いと思います。歴史を尊重しなければ伝統を語ることはできません。ただし車は変わらないといけない。トラディショナルとスタイルを保つことがとても重要で、MINIはかなりそれを研究し尽くしていると感じます。だからどんな国でも、どこかの都会でも、どこかの自然の中でも、不思議と溶け込んでマッチして見える。この溶け込み具合の上手さは、MINIもある意味“水”のような存在ではないでしょうか。」

とにかく日本が大好きという、レターボーイさん。山形の自然の中でのMINIも美しいと語り、密かに移住も考えたいとか。

MINIは僕らに教えてくれる

最後にMINIへの印象を伺った。
「めっちゃかわいいですね〜」
三瀬教授から思わず関西弁が飛び出した。つまりそれが率直な感想だろう。素材感といい、スイッチ一つにしても美しく、そして押した時のフィードバックまでもが気持ちいい。今はちょっとした操作までもが簡略化されつつあるが、扱う楽しさをMINIはきちんと知っていて、それをしっかり僕らに伝えている。そこに感心する、と話してくれた。

MINI × レスポンス

「これからの車のデザインは、元々の価値観を変えるとか、あり得ない世界観を提示するとか、そういう方面も期待したいですね。これまで車はガソリンという概念で考えられたモノでした。これが電気という基本概念で考えられていたら、もっと想像もできない姿になっていたのではないかと考えると、ワクワクしますね。そこに新たな飛躍があると思っています。」

今あるものを、モダンにアップデートしながら上手に変えていくことの重要性。これまでの“伝統”という範疇の中で、今後どのように進化させていくのか。日本画は、それを教えてくれる重要な要素を持ったアートと言えるかもしれない、そう語ってくたレターボーイさん。確かに頷ける。

伝統と革新を背負い続け、新しい時代を超えてきたMINI。
これからもその伝統と革新の歴史をつないでいってほしい。

INTERVIEWER:LETTERBOY
  PHOTO:JUNJI IWAMOTO

今回のナビゲーター

レターボーイ

スウェーデン出身、東京在住のグラフィックデザイナー、カリグラフィー・ハンドレタリングアーティスト。タイポグラフィー、カリグラフィー、デジタルグラフィックなど文字にまつわる様々な手法を用いて、国内、国外問わず活動中。

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