top interview by Teruo Ikehara
小さいが生業になるようなクルマが必要
――これから20年、30年はHVということですが、電気自動車(EV)についてはどう対応していきますか。

伊東 迷うことなくHVと申しましたが、環境対応のなかでEVも選択肢ではあります。ただし、ワンチャージ(充電)で500kmとか600kmとかは走れませんので、新しいパーソナルモビリティとして、あるいはコミューターとして、お客様にはどういう使い方のものになるのか、きちんと提示することが重要でしょう。

米国ではゼロエミッションについてはFCV(燃料電池車)でやっていこうとしていますが、こちらも(水素供給)インフラやコストという課題がある。ゼロエミッションはすべてFCVでとはいかない。EVは真面目に研究を進めていきます。

燃料電池車、FCXクラリティ
――新興国向けには『フィット』より小さいクルマが必要ではありませんか。

伊東 新興国だけでなく、全世界で必要になってくるでしょうね。CAFE(メーカー別の平均燃費)といった規制も強化されてくるわけですから。中国のモータリゼーションも大きいクルマばかりでは限界がある。

私自身、現行のフィットも大きくなったなと感じていますし、間違いなく小さいクルマは必要です。小さいが、われわれの生業にもなるようなクルマですね。

――ホンダは2輪事業から入って行ける強みをもっています。

伊東 そうですね。この間の経済変動のなかでギリギリ黒字が確保できたのは新興市場での2輪の頑張りがあったからです。2輪はこれからも面白い。とくに、モビリティは2輪でという世界がまだまだ沢山あるわけですから、しっかり取り組んでいきたいです。

寄居工場完成予想図
――日本の4輪の供給力では、寄居工場(埼玉県寄居町)と八千代工業の軽自動車工場の新設が凍結状態となっています。それを解除するにはどのような条件が必要ですか。

伊東 寄居は間違いなく絶対やらなければなりません。CO2は製造過程からも出るわけです。工場は一度建設すると20年も30年も運営するので、新鋭の(環境に対応した)設備も導入したい。そういう意味合いもあって寄居は考えてきました。解除の条件はお金(業績)だけです。

八千代工業の新工場については慎重にと考えています。より強い経済合理性で判断ということです。将来の日本の市場やわれわれのシェアなどを考えながら、これから恒常的にもつべき生産能力を検討していくなかで判断したい。
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Page 1ホンダらしさを強めて行こう
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