――なるほど、乗用車がそうであったように省燃費・高品質といった持ち味で市場を切り拓いて行くわけですね。
白井 われわれはディーゼル・ハイブリッド車(HV)をもっている。米国では多くの都市で住宅が郊外から都市部へと集中する傾向にあります。恐らく、都市の中での物流ゾーンに対応するトラックはHVが主流になるだろうと思います。
日本で小型・中型トラックおよびバスでHVを販売していますが、まだ改良の余地は大きい。燃費は(省燃費に)理想的な走行状態で、ディーゼル車よりようやく2割程度良いという状況です。
いま、それを5割良くなるHVにしようと開発を進めています。価格も小型トラックで100万円くらい高くなっているのを、原価低減で半分(50万円)にしようと指示しています。トヨタグループとしてHV技術を共有できる。それが我々の強みです。
――次世代HVはいつごろ投入できますか。
白井 なるべく早くです。遅くとも私の在任中には出します。トラックは走行距離が長いので、原価低減して燃費もさらに良くすれば、初期投資は短期で戻ってくる。とくにストップ・アンド・ゴーの多い都市部を走る小型車クラスには、一番適している。バスもそうですね。
――HVは海外ではどのような地域に投入しますか。
白井 米国のほかでは欧州ですね。現地メーカーと同じような商品をもって行っても難しいですから。海外では「後発」になるわけですから、まずは量より質で勝負するということです。
お客さまが儲かって、しかも地球環境にもいいトラックをお届けする。いま、われわれが取り組んでいる技術は世の中のためになる技術だと、社内では言っています。世のため、人のために役立てば、自分たちの生活も豊かになりますし、会社も伸びます。
トラックの技術は、世界での切磋琢磨が十分であったとはいえません。その分、技術もまだまだ伸び代(しろ)があるのです。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:竹内征二
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