――トラックの国内需要は成熟化していますが、海外はBRICsなどの市場が拡がっています。日野自動車をどのような会社にしていきますか。
白井 この1年で感じたのは、ひと言でいうとトラック・バスビジネスは、これからすごく伸びるということです。しかも当社はトヨタグループの一員であり、ハイブリッド技術によって商品力を強化する余地もまだ大きい。
私がずっと従事してきた乗用車は、世界で戦ってきました。米国にはGM(ゼネラルモーターズ)がいるし、欧州に行けばフォルクスワーゲン(VW)やプジョーなど、日本ではホンダさんや日産さんといった具合です。
しかし、トラックはこれまでグローバルな戦いは少なかった。米国も欧州もそれぞれの現地メーカーが強く、日本のメーカーは国内とアジアが中心ということでした。たとえば、米国ではコンボイのような巨大なトラックが走っています。しかし、積載効率も燃費も良くない。私は当社の商品で海外のトラックマーケットを変えたいと考えています。
40年ほど前に日本の乗用車が、本格的に米国に輸出され始めた当時、米国車はやはり巨大なものでした。しかし、日本車によってダウンサイジングの流れができました。マーケットを変えたわけです。われわれのトラックも物流の効率化や環境負荷の低減を通じて市場を変えることができるはずです。そうした気概で挑戦する会社にしていきたいですね。米国の場合、今後20年、30年で変革が起きると見ています。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:竹内征二
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