---- VMCは今後、様々な形でサービスとして顕在化するわけですが、その中でも重要なものは何ですか。
中村 自動車メーカーと連携しているものは守秘義務契約で明かせないのですが、おサイフケータイなどドコモが力をいれているものは、積極的に活用していきたいと考えています。
---- おサイフケータイのコア技術であるモバイルFeliCaは、セキュリティ性能が高く、汎用性があるのが特徴ですね。
中村 そうですね。ひとつには「認証のツール」として使えますよね、ということになります。そういう切り口で、カスタマイズに使うとか、いろいろと考えています。これ以上は言えません(苦笑)
---- おサイフケータイがある一方で、通信モジュールの動向も気になります。最近では駐車場満車空車情報の取得や、公共交通機関のロケーションシステム用にドコモのモジュールが使われる例が増えていますが。
中村 もちろん、持ち込みケータイのサービスがある一方で、通信モジュールによる組込型のソリューションが重要であることも認識しています。VMCのコンセプトには通信モジュールも含まれており、(携帯電話連携と並んで)推進されています。
---- 持ち込みと通信モジュールの両面作戦で、クルマとケータイを結び付けようと。
中村 VMCの実現には、その2軸が必要ですから。まずはBluetooth携帯電話を使った展開を進めます。そして、もう少し長い目で通信モジュール型のソリューションも、自動車メーカーと一緒に取り組んでいきます。
---- 携帯電話ビジネスと自動車ビジネスでは、その展開におけるスピード感が異なります。VMCはどのようなスピード感になるのでしょう。
中村 通信モジュール型はクルマの開発サイクルにあわせるので、自動車ビジネスのスピードに近くなります。一方、今回のパ・ケ・ナビメールのようにネット側と既存端末の対応で実現できるようなものは、半年ごとくらいのサイクルで(サービスや端末を)投入していきたいですね。今後のスピードは速くなりますよ。
---- キャリアのビジネスにとっては、今秋の番号ポータビリティ制度(MNP)導入が大きなトピックスですが、それによるVMCの影響はありますか。
中村 もちろんあります。VMCが、MNPにおけるドコモの魅力のひとつになるようなプランを考えています。
---- 携帯電話とクルマは実は似た部分があって、これまでどちらの世界も自己完結性が強かったと思います。クルマに関しては、今でも垂直統合で「閉じた世界」でプロダクトが生まれています。
しかし、インターネットの世界や、それ以外の各種サービスを見ても、世の中は「開かれた世界」が連携・融合して連鎖的に新たな価値を生み出すモデルに変わってきている。これがWeb2.0的な考え方であるわけですが、ドコモはその世界観を急速に取り入れている。そのクルマ版がVMCと言えそうです。
本日はどうもありがとうございました。
《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
《写真:石田真一》
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1980年日本電信電話公社(現NTT)入社。横須賀電気通信研究所にて、ワイヤレス通信方式の研究に携わる。1991年、東京大学工学部より、工学博士取得。1998年、NTTドコモに転籍、PHS事業本部ネットワーク企画担当部長。1999年、ドコモブラジル取締役技術部長としてブラジル、リオデジャネイロ市に赴任、南米への3G普及に貢献。2001年、ドコモUSAシニアバイスプレジテントとして、米国シアトル市に赴任、当時ドコモが出資していたATTワイヤレス社に技術部長として勤務。2003年7月、NTTドコモITS推進室長として着任、以来NTTドコモのITS、テレマテイクス関連のサービス開発、システム開発の責任者。現在に至る。ケータイ、カーナビ、PCのサービス統合、シームレス化を目指すVMC構想の発案者。
著書にWireless Data Services - Technology, Business Model and GlobalMarket -(2003年、ケンブリッジ大学出版、英文)をはじめ、論文、特許、発表等多数あり。
ITS情報通信システム推進会議3Gテレマテイクス研究専門委員会委員長、電子情報通信学会ITS研究専門委員会委員、郵政省番号研究会委員、VICSプローブ懇談会委員、画像電子学会モバイルイメージ研究委員会副委員長等を歴任。
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通信・ITSジャーナリスト。IT専門誌契約ライターを経て、大手携帯電話会社の業務委託でデータ通信ビジネスのコンサルティングを行う。'99年にジャーナリストとして独立。'04年に独立行政法人 新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の技術委員を務める。現在は株式会社IRIコマース&テクノロジー 客員研究員。株式会社イード 客員研究員。移動体通信とITSを中核に通信が関わる分野全般を取材対象にし、企業の取材および定期的なユーザーヒアリングを実施。技術・ビジネスのシナジー効果、ユーザーニーズとデジタル文化の分析を行う。著書は「自動車ITS革命」、共著は「逆転戦略 ウィルコム」、「別冊ダイヤモンド 知って得する法律ガイド」(す べてダイヤモンド社)など。連載は、「アンプラグド」(レスポンス)、「時事日想」(ITMediaビジネスモバイル)。他にも多数のビジネス誌、専門誌、一般誌に寄稿している。
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