top interview by Teruo Ikehara
原低は現地開発の徹底
――原価低減では、かつてトヨタの調達担当として「CCC21」という手法を渡辺捷昭社長とともに展開された。ダイハツではどう取り組んでいますか。

箕浦 原低はプロ同士が集まってどれだけやれるかです。ずっと以前は、部品の調達は購買部だけがやっていた。いまは開発も一体となって、どうすれば安い部品ができるかというところから入ります。

――CCC21では、そうした部門の壁を取り払って成果を上げました。

箕浦 ダイハツもそうした手を打つしかありません。とくに海外ではインドや中国で部品メーカーを見つけて、開発部門が足を運んで、どう設計すれば安くできるか一緒になって進めている。たとえば中国で生産するときには、日本から持っていくのはノウハウだけにとどめ、設備も材料も人もすべて中国でまかなう。これを徹底しようとしています。

コストが日本の0.2なら全部現地でやれば仕上がりも0.2になるはず。しかし0.6とか0.7になってしまう。それはまだノウハウ以外の、たとえば機械が日本製でないとだめだからとか言って持って行っているからです。全部現地ということを徹底したい。となる、設計段階から入らないとできない。

――海外では最近、インドネシアの能力増計画を発表し、マレーシアでは『ブーン』ベースの新モデルも投入しました。今後、世界の中で重視していく市場はどこでしょう。

箕浦 インドネシア、マレーシアはいま好調ですが、どこにも波はある。この2カ国とも同じ東南アジアなので、地域で何か起こった時にふたつともやられてしまう。不安定でリスクが大きい。だから早く、日本、東南アジアに次ぐ3本目、4本目の柱を立てたい。そうすれば2本目の景気が悪くなってもカバーできる。しかし、そういう構造になっていないので、インド、中国を当面のターゲットにしています。

また、世界的に見ると、いまは完成車を送っている欧州にも問題がある。為替がひっくり返ると完成車輸出では商売にならない。これでは本当のビジネスといえない。ですから欧州で現地生産したい。これもいずれ、ひとつのターゲットになるでしょう。
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