石田 ランキング付けです。まず最初に「トヨタ整備士問題漏洩」についていきましょうか。自動車整備資格を持っている方に説明してもらったのですが、自動車業界での1級整備士の資格というのは外部で我々が考えている以上に重みがあるようですね。正にステータスと呼ぶにふさわしい。
三浦 すごいよね、2カ月とか3カ月とかカンヅメ状態で模擬試験の勉強をして挑む試験なんでしょう。11月に行われる試験のために夏休みを返上して、家族サービスなんてそっちのけで勉強していたわけでしょう。それが「辞退しろ」と言われたら、腹立たしいなんてものじゃ済まない。
福田 だからこそ張社長が試験を受けたひとりひとりに手紙を書いて詫びたわけでしょう。
三浦 東大の試験問題を、予備校の教師に作らせているようなものだ。そんな先生から「ここが重要だ」といわれたら、それはやはりそこを重点的に勉強するよ。それが今になって「本試験の漏洩問題でした」といわれても……。
福田 今年辞退することで人生の計画にズレが生じてしまった人もいるでしょう。来年また受けられるかどうかもわからないし、2年連続で休日返上の勉強会なんてねえ。だからこそトヨタとして辞退した人に対して謝罪している。しかもその相手がトヨタの社員ではなく、販売会社の人間なんだから。
三浦 ああ、そうなるんですよね。
福田 ディーラーはクルマを売っているけど、メーカーにとってみればお客様だ。お客様に対して失礼なことをしてしまった。これはネッツ店とビスタ店との統合、レクサス店の創設というディーラーの再編にも大きく影響してくる。これからトヨタは貸しを作った状況でディーラー再編を行わなくてはならない。
石田 「俺は1級資格を取ってレクサス店に行くんだ!!」なんて目標もあったかもしれない。
高木 2003年を通じて“大トヨタ”“超優良企業”といわれ続けたトヨタだからこそ、これは文句なしの1位です。

マイナーチェンジを施されたホンダ・ステップワゴン
石田 それでは次に上位に来そうな「ホンダ失速」いきましょう。
三浦 前半に主な新型車はインスパイアしかないことがわかっていたのに85万5000台という目標を掲げていたわけだから。既存のクルマがもっと売れる予定だったわけだ。それが対前年比の販売台数を大きく割り込んだ。
石田 ストリームがウィッシュに食われたというのは大きいかも。ストリームは結構稼げるクルマだった。それが他社に取られたというのは大きいし、痛い。
三浦 もうちょっと遡りたいな。ここ数年の売れ筋だったステップワゴン、CR-V、オデセッセイがどれもモデル末期まで商品力を維持できなかった。いずれも先代からのモデルチェンジがキープコンセプトで、「変わった」という感じが薄かった。ホンダはいつも革新を求められているから。「上質になりました」で許されるトヨタとの違いだね。
高木 4年前に今の状態は決まっていたというわけですね。これが2位ということになるのかな。
三浦 やはり上位が予想される「JHイニシャルトーク」にいきましょう。何か話すことはないの。藤井治芳は悪役かどうか。
高木 本人としては悪いことをしているという実感はないみたいですね。ある意味で典型的な役人なんでしょう。親の代から建設の道路族。面白いのは『文藝春秋』の方に片桐さんの手記を掲載して、『週刊文春』では藤井さんのインタビューを載せている。そういうマッチポンプをマスコミが演じていたのは興味深い。まあ、これは論議するまでもないでしょう。
三浦 これが3位ということで決定。では技術各論にいきましょう。フローティングカーと渋滞予測は大事件。僕は4位に入ると思うよ。
石田 スゴイ技術なんだけどホンダのアピール不足ですよね。オデッセイの車高が低くなったというニュースにかき消されてしまった。そうなるとプリウスは5位ですか? インテリジェント・パーキングアシストシステムは。

トヨタ・プリウス
佐藤 ハイブリッドとしてのプリウスならわかりますけど、車庫入れ機能はメインの話題ではないと思いますよ。
三浦 もうハイブリッドだけではかつてほどアピールにならない。だからそういう意味でパーキングアシストという新技術を付けたのはさすがだ。ハイブリッドのEVモードがあるから実現できたわけだし。
佐藤 それをいうならプリクラッシュ・セーフティのほうが上でしょう。だってクルマにブレーキを踏ませちゃうんだから。プリウスはクルマがブレーキを踏まないから、発表会で張社長が慌てたんですよ。
石田 いや、あのシステムがハイブリッドといっしょに次期ヴィッツだの他のクルマに装着する可能性があるかもしれない、というところでの評価。パーキングアシストがハイブリッド車のキラーコンテンツになる、そういう起爆要素は含んでいるんだから。
高木 おお、やっと意見が分かれてきましたね。そうこなくっちゃ。
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