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フミア氏は自分が得意とし、また好みでもある、クリーンでシンプル、落ち着いたデザインを展開した。フミア氏は、ユピテルのマーケティングで興味深い点を指摘する。「レーダー探知機は、安全なドライブを支援する情報機器というスタンスだ。相手に対して攻撃的な存在ではないのだ」
2月に顧問契約を結んで、早くも4月にフミア氏は最初のデザイン案を提出した。レンダリングで十数案、さまざまな方向性を提示した。倉田課長は、フミア氏の「改善しよう」という意志をこれらのレンダリングに感じたという。バリエーションは、現行モデルよりデザインコンセプトが少し進化したものから、大きく飛躍したものまで。そして採用されたのはほぼ中間に当たる案だった。
倉田課長は選択の理由を説明する。「少しの進化ではフミア氏に依頼した意味がない。いっぽう最もアドバンスした案は、おそらくフミア氏自身の最終的な希望はこれだと思うが、市場がついてこない恐れがある。先進性と市場性とのバランスがよい案を採用した」。ただしアドバンスした案も将来のユピテル製品に生かされるそうで、初期デザイン案はSG-500DW向け採用案のみが公開された。
レンダリングがそのまま商品化されることはまれだ。ここから商品としての具現化のために、エンジニアなどとの協同開発作業が始まる。初期デザイン案でおもに問題になったのは太陽電池パネルの保持だった。パネルの主な素材はガラスであり、製品が落下した時に破損しないようにするなどの要件が生じた。
フミア氏は「難しいことは楽しいこと。問題を乗り越えることがデザイナーのやりがい」と、この間のプロセスを表現する。フミアデザイン実現のためにユピテルのエンジニアがもっとも努力した部分でもあった。デザイン開発作業は、フミア氏が来日することもあったが、トリノと東京都の間でデータをやりとりして進行した。ユピテルからのレスポンスは常に良かった、とフミア氏は振り返る。
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最終デザインの原寸大モデル。クルマのダッシュボードデザインとの調和や、ウィンドシールドへの映り込みを考慮してホディ色が暗くなった
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アクリル製原寸大モデル。上下2分割でき、間に色のついた紙を挟むことによって、ボディ色のおおまかなイメージがつかめる
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