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ユピテル工業の安楽社長は、製品が機能を提供する時代は終わった、とさえ言う。「技術的な裏付けはユピテルにもうあるということだ。そして今まではデザインなしでも製品が売れた。次のステップとして、総合的な顧客満足度を高めたい。パッと見ていいな、と思えること、そして使いやすいこと。それがデザインだ」
いっぽうフミア氏はユピテルの仕事を引き受けた理由として、日本が好きなことをあげる。「日本に初めて来て20年以上たつが、来るたびに発見があり、デザイナーとして刺激的な場所だ。そこでデザインできるのは名誉ですらある」
「ヨーロッパにはレーダー探知機という製品がなく、“自分が最初のユーザー”という、私がモットーとするデザイン手法を使えないため不安があったが、デザイナーの仕事は挑戦することにある。ユピテルも革新的なデザインを求めており、白紙からのデザインということで仕事自体もチャレンジングだった」
ユピテルからフミア氏へ技術的要件は何もなかった。「要件を与えると従来デザインの延長になってしまう。そうではない自由な発想からの、これまでと違った切り口がほしかったからだ」と倉田課長は語る。
また倉田課長は、従来デザインは機能に特化していて、製品がクルマの中で目立ち過ぎていたと分析する。この点はフミア氏も同感で両者の“波長”が合った。「装置を隠すのではなく美しい造形でユーザーを満足させたい。しかし室内全体のデザインの中で浮いたものにはしたくなかった」。そしてフミア氏のカーデザイナーとしての経験が生かされることとなった。
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開発中期のドローイング。ソーラーパネルの取り付け角度や、側面のボリューム感を検討。取り付けブラケットのデザインはフミア氏の担当ではないが、デザインの連続やボリューム感は考慮された
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操作/表示面の検討。採用案は「4」。クルマの円形メーターがモチーフで、自動車内のデザイン統一をねらったもの
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このような修正案のやりとりがイタリアと日本との間で行なわれた
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