――石原、田中、北川知事らの改革への取り組みに今後も期待したいところですが、日本経団連会長の奥田さんには、わが国の閉塞状況を打破するための改革を断行してくれるのではないか、との期待が寄せられています。奥田さんは将来の日本を「内外に開かれた、活力と魅力ある国、外国の人に来て住みたいと思われる国にしたい」とおっしゃっている。それを実現させる具体策を"奥田ビジョン"として今年度内にまとめるそうですね。
奥田 いまはまだ何もできていないが、ビジョンにはいま言われたことは入ってくるでしょう。それに、20世紀はひたすら物資的な豊かさを追いかけてきた。21世紀は経済的な成長も多少は必要だが、心というか精神の豊かさを求める必要があると思う。21世紀を"心の世紀"にしなければいけない。そういうこともビジョンに入れたいと思っている。
――奥田さんは「21世紀は多様な価値観を発展させなければならない」と言っていますが、企業もそういう価値観で人材を集める必要がありますね。
奥田 そう思うよ。いい意味での個性を持った人、それから気概とか、気骨のある人が21世紀の企業には必要だ。会社の中で自分の主張を信じて実現していく。それがいちばん大事な社員ということだね。
――21世紀の企業は、奥田さんのような会社を変えることができる人をトップにした、トヨタの企業風土が必要ということですか。
奥田 (トヨタには)それがもともとあったのでしょうね。
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