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●あのトヨタさんもやるんだから、ウチはもっと…

―― 2000年暦年の販売台数は、スズキが57万4000台で軽自動車メーカートップでした。これで28年間連続して軽自動車メーカー・ナンバーワンの座にあるわけです。28年間も軽自動車のトップメーカーであり続けたのは、何といってもフロンテ、アルト、ワゴンRといった画期的な大ヒット商品を他の軽自動車メーカーに先駆けて発売してきたからだと思います。ライバル、ダイハツ工業の追い上げが急な中(ダイハツの2000年暦年の販売台数は約52万台)、そろそろ「ポスト・ワゴンR」というべき、画期的な商品開発が本格化しているのではないですか。

戸田 そりゃもうワゴンRを発売してから7年ですからね。やっていなければ、アホじゃないかと言われちゃう。ただね、ユーザーの趣向とか、ユーザーの意識の変化がものすごく早いので、なかなか難しい。ただね、環境とか安全への配慮は当然のことながら、ユーザーにクルマを楽しんでもらうという基本は押さえなければならないでしょうね。



―― 「ポスト・ワゴンR」の開発が戸田さんの社長としての重大な役割だと思うんですが、もうひとつの「チャレンジ25」の達成も社長としての大きな役割ではないですか。

戸田 それはそうですよ。

―― ただね、スズキといえば、徹底したコスト削減をやってきた会社でしょ、それを「チャレンジ25」でさらに25%コスト低減するというのは、なかなか大変だと思いますが。

戸田 そうおっしゃるが、新聞報道によると、コスト低減ではウチよりはるかに進んでいるトヨタさんが、部品調達などで3年間に1兆円のコスト低減をやるというんでしょ。あのトヨタさんがそれぐらいのコスト低減をやるわけだから、ウチはもっとコスト低減をやらねば、とても生き残れません、このあいだも、トヨタさんの三好工場を見学させてもらいましたが、相当進んでいますね。さすがトヨタさん、やっぱりすごい。そのうえ、さらに3年間で1兆円のコスト低減をやるというのだから、驚きました。

―― 「チャレンジ25」はなにもコスト低減だけが目標じゃないんですよね。

戸田 そう。例えば、生産工場では、人員を25%削減しても、従来どおりの生産ができないかということにもチャレンジします。

―― 開発部門や営業部門ではどういう目標にチャレンジするのですか。

戸田 開発は、商品開発の期間を25%短縮するとか、技術力を25%向上させることですかね。営業だと、売上げでも販売台数でもいいんですが、25%増やせということです。あとは間接部門でも、例えば経理なんかは連結決算の集計業務をITの導入などによって、25%短縮させることですね。

―― 話をうかがっていると、スズキが今後も軽自動車のナンバーワンメーカーであり続けようという決意が伝わってきましたよ。

戸田 そうですか。小さなクルマづくりのエキスパートになって、今後もナンバーワンを意識しながらやっていこうと思っています。

静岡大学工学部卒業後、58年、鈴木自動車工業株式会社入社。87年に4輪第2設計部長となる。87年取締役就任、89年常務取締役、91年専務取締役を経て、95年取締役副社長就任。2000年6月より、取締役社長として指揮をとり、現在に至る。
※90年スズキ株式会社に社名変更
経済誌編集長を経てフリー経済ジャーナリストへ。「週刊文春」「週刊現代」「週刊朝日」「プレジデント」などの雑誌や、「ニュースジャパン」(フジTV)で活躍。著書に「トヨタ創意くふう提案活動」「自動車大ビッグバン」などがある。
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