●小さなクルマづくりの技術を磨き抜く
―― 燃料電池以外にも、GMにはスズキが使える技術がたくさんあるんでしょうね。
戸田 ある、ある。ウチがすぐに商品開発に使えるもの、2〜3年先には使えるものなどたくさんありますね。(GMは)図体が大きいだけあって、技術部門のスケールも実に大きいですよ。
―― とはいえ、GMの技術をスズキに採り入れるといっても、そっくりそのまま使えるわけではない?
戸田 うん、全然ダメ。それとね、ウチがいっぽう的に、その技術をくれといってもダメなんですよ。例えば、向こう(GM)が手掛けているのは大きいピストンばかり。逆にウチが小さいピストンだけ。そうすると、向こうでやっている燃焼のシミュレーションを、ウチに当てはめても同じ結果は出ないんです。そこでウチの若い技術屋をふたりぐらいGMに行かせて、いっしょに燃焼のシミュレーションをやらせる。いっしょにやっているちに、シミュレーションの結果が同じになってくる。するとGMの研究者も、自分たちの技術が小さいものに使えないことがわかり、同時に小さいものに対する興味をもってくれます。つまり、ギブ・アンド・テイクの関係にならないと、GMの技術をもらうといっても、そう簡単じゃないわけです。
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