アウディは7日、オーストリアの老舗ピアノメーカー、ベーゼンドルファー社とのコラボレーションによるピアノ『アウディデザイン・グランド』を発表した。16日にドイツ・インゴルシュタットのアウディ・フォーラムで開催されるアウディ創業100年祭に用いられる。
このピアノは、ミュンヘンにあるアウディ・コンセプト・デザインスタジオと、ベーゼンドルファー社の共同製作によるもの。
ピアノのデザインを手がけたアウディのフィリップ・シュレジンガーは、「自由な表面形状は、クリアなシェイプづくりに貢献している。装飾を廃し、エッジとラインはいずれも明快。それらの連結部は論理的に整理されている」として、それらがアウディ車の重要なデザイン要素と共通であると解説している。
低音側の2本の脚はボディと連続して下降させることで、聴衆の視線をアーティストに集中させる効果を狙った。対して、高音キーが並ぶ側の脚はアルミニウムにすることで、視覚的にも軽快な音をイメージさせるようにした。またペダル周辺にもアルミを使用し、ハイテックなムードを演出している。
ベーゼンドルファー社は1828年ウィーンで創立。1830年にはオーストリア皇帝によって宮廷御用達ピアノに指定された。年間生産台数を350台に絞った超高級ピアノブランドとして、演奏家や音楽愛好家の間では知名度が高い。
同時に近年は、スワロフスキーをはじめ、さまざまな企業やデザイナーとのコラボレーション・モデルも手がけてきた。ベーゼンドルファーは今回の「アウディデザイン・グランド」のために、特製のフレームを製造した。近年アウディは、有名なザルツブルク音楽祭のメインスポンサーを務めるなど、クラシック音楽を媒体にしたプロモーションに力を注いできた。
なお、アウディデザイン・グランドはベーゼンドルファー社を通じて販売される。価格は約10万ユーロ(約1300万円)。欧州ではアウディ『A8』に相当する金額である。