未来のロンドンバスは、こうあるべき---。デザイナーのヒュージ・フロストが提案するダブルデッカー『フリートバス』である。
パワーはインホイールモーター式の電気もしくは燃料電池を想定しており、ボディは9.5mと11.5m、そして13.5mの3仕様がある。
発表されているスペックには、近年イギリスでも導入が進められてきた連接バスとの比較が多く盛り込まれている。9.5m仕様は、乗用車2台分の全長で90人を運ぶことができ、路上占有面積は従来の連接バスより2割少ない。13.5m仕様は最高で90座席を確保でき、デザイナーによれば標準的連接バスよりも43人多く着座できるという。立ち席を含めると最大130 - 150人を輸送できる。にもかかわらず、9.5m仕様同様、連接バスよりも全長は短い。
その秘密は室内空間効率の追求だ。2座シートはすべて折り畳み式とする。加えて、後方にはポールによる吊り下げ式簡易シートを装備。不要なときは天井に畳んでスペースを稼ぐ。運転士はカプセルと呼ばれる中でシートを回転させて乗り降りする。
この作品は、ロンドンの交通営団(TfL)とロンドン市長が呼びかけたコンペ『新しいロンドンバス』の一候補として制作された。19日に発表される最優秀作の候補には残らなかったものの、デザイナーのフロストは製品化のために出資者探しを続けるという。
ちなみにロンバンバスは歴史の中で、早くから2ペダルのオートクラッチなど、他国の路線バスに先駆けたシステムを採り入れてきた。それだけに新時代のバスにも期待がかかる。