ナビゲーションの多様化で市場全体は活性化している
----:まずナビゲーション市場の環境変化についてお伺いします。PNDの普及やケータイナビ参入業者の増加など、この1年はとくに変化の大きかった印象がありますが、板橋さんはどうお考えですか。
板橋:この1年間はケータイナビサービスの新規参入が増え、PNDも急速に普及しているということで、ナビゲーション市場全体の活性化を実感しています。消費者にとっては紙地図・ケータイナビ・PND・車載カーナビと、選択肢が増えた1年と言えるのではないでしょうか。
当社内では、この1年で何か大きな変化があったということはありません。これまで同様、自社の経路検索エンジンをベースにインターネットならではの情報を活用したサービスの拡充を常に追求しています。紙地図と車載カーナビの間のマーケットでできることをサービス化し、ナビ全体の活性化に寄与したいという思いはいまも変わりありません。
◆905i対応など矢継ぎ早に機能を改善
----:では、NAVITIMEのサービスとしてはどのような発展がありましたか。
板橋:まず07年9月に、903i以降のドコモ向け端末のiアプリをバージョンアップし「NAVITIME plus」の提供を始めました。メニューのデザインを一新してよりグラフィカルにするとともに、地図のスクロールを高速化してスムーズなスクロールを可能にしています。また、ナビ中の音声とキャラクターをNAVITIMEのCMキャラクターである「Mr.NAVITIME」などに変えられる「着せ替えナビ」にも対応しました。着せ替えナビは、KDDIさんと共同で運営しているauのEZナビウォークで好評だった機能をNAVITIMEでも利用できるようにしたというかたちです。
また、07年の11月にはドコモ向け905iシリーズの登場に合わせて、同機種向けのアプリをリリースしました。905iシリーズでVGAサイズ以上の画面を持つ機種が多く出てきましたので、よりリッチな表現が可能になっています。
----:905iの対応では、具体的にはどの点が変わったのでしょうか。
板橋:大きいところでは3Dビューの採用ですね。また、ドライブサポーターの機能としては、SA・PA情報を表示して案内する「ガイドモード」、一定間隔でVICS渋滞情報を更新してリルートを行う「リアルタイムリルート機能」を追加しています。また経由地を新たに設定できるようにもなりました。
----:端末の性能は急速に進化していますが、ハードウエアの進化は、開発者にとってモチベーションが刺激されるものなのでしょうか。
板橋:端末の進化によってできることが増える反面、制御や検証など、苦労させられることもあります。画面の高精細化で表現力も増しますから、リッチな表現を求めてしまうのですが、たとえばQVGAからVGAになると、それだけ描画するドット数が4倍になる計算です。ケータイの性能が4倍になったわけではありませんから、重い処理であることには変わりありません。とはいえ、流れからいって今後はもっとVGAに特化した表現が求められていくでしょう。905iへの対応は、“よりリッチな表現を”という流れに沿って開発したものです。