【池原照雄の単眼複眼】トヨタ、HVの海外生産を本格展開へ

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100万台体制に向けた需要生産

トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)の海外生産拡充への準備に着手した。現在、米国と中国で生産を行っているが、2009年にはタイでも立ち上げる見通しだ。また、豪州からは環境対策のためにHVの現地生産の要請を受けている。

渡辺捷昭社長は2010年代の早期に、HVの世界販売を年100万台に増やす方針を打ち出しており、市場のあるところで供給体制を築く「需要地生産」がHVでも加速する。

トヨタは2007年に前年より25%多い約42万7000台のHVを生産した。このうち9割近い約37万5000台が国内での生産だった。海外では05年末から中国で『プリウス』、06年秋からは米国のケンタッキー工場で『カムリハイブリッド』の組み立てを始めている。

◆3番目の海外生産地はタイに

昨年の生産実績は、HVへの関心がまだ薄い中国が数百台にとどまったのに対し、米国のカムリは5万2000台に達した。当初想定していた年4万80000台を上回るペースとなっており、ガソリン価格の高騰もあってHV人気が高まっている。

北米はプリウスの最大の販売先でもあり、来年の全面改良を機に同車を米国で生産する検討が進められることになろう。

3番目の海外生産地として、トヨタはタイを候補にしている。ガソリン車のカムリを生産しており、当初から高い現地調達率を確保できるメリットもある。早ければ09年から年間数万台規模の生産に入る見通しだ。アジア地域を中心としたHVの供給拠点として育成していく。

◆全モデル展開への布石に

一方、同じくカムリを生産している豪州でも立地先のビクトリア州からカムリHVの生産誘致の動きがある。HV生産に伴う補助金などインセンティブ政策も発表されている。

豪州は環境対策の一環としてHVの普及を促したい方針。ただ、地理的にタイからの供給も可能なだけに、豪州での生産は今後の検討課題となりそうだ。むしろ、トヨタにとって世界市場をにらんだ場合、欧州での現地供給体制が先決となる。

トヨタは昨年11月に策定した「グローバルビジョン2020」でハイブリッド技術の「全モデル展開」を打ち出した。少量生産モデルは日本で集中生産する方が効率的だが、海外ではいくつかの「中核拠点」の育成が必要であり、そうした布石が始まる。

《池原照雄》

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