ナビタイムジャパンがNTTドコモ向けに提供する助手席ナビゲーションがドライブサポーター。トータルナビをはじめとして、携帯電話のナビゲーションサービスをリードする同社が開発したサービスだけに、UIや使い勝手にはそうとうのこだわりがあったようだ。ナビエンジン開発部部長、板橋光義氏に話を聞いた。
◆「ナビゲーションサービスが携帯電話のキラーアプリになる」
----:まず始めに、ナビタイムジャパン(以下ナビタイム)のこれまでの経緯をお聞かせください。
板橋:空調関係機器の開発製造をおこなう大西熱学の社内ベンチャーとして、2000年3月に独立、創業しました。もとは当社の大西(啓介代表取締役社長)と菊池(新副社長)のふたりが「近い将来、モバイルでのナビゲーションが実現するだろう」という考えのもとで、長年研究してきた経路探索エンジンをビジネス化するために立ち上げたものです。
----:そして2002年には早くもKDDI向けにBREWの地図検索システムを開発し、「トータルナビPRO」を発表されましたね。ケータイGPSへの対応の早さには、マスコミにも驚きを持って受け止められました。トータルナビ開発に当たっての苦労はありませんでしたか。
板橋:歩行者ナビはカーナビのような道路網を探索する技術とは全く別ものです。公共交通機関のダイヤ情報を解析して経路情報を求める必要があります。ですので、限られた端末の処理能力で、徒歩のナビとクルマのナビという全く違うフォーマットと技術をひとつのエンジンで制御する技術を開発するのにはたいへん苦労しましたね。
----:2003年にはau向けの歩行者ナビゲーション「EZナビウォーク」、そして2005年にはKDDIと協業して「EZ助手席ナビ」を開発されました。
板橋:はい。2006年にはNTTドコモ903iシリーズ向けのiアプリサービスを開始しました。1つのアプリで歩行者と自動車双方のナビゲーションが実現したのは2006年の10月からです。
----:めまぐるしい進歩ですね。開発に当たって意識されたのはどのようなことでしょうか。
板橋:「ナビゲーションサービスが携帯電話のキラーアプリになると考えたとき、私たちが提供できる価値は何か」をまず考えました。肌身離さず持ち歩くのが携帯電話です。そのケータイで手軽に目的地を設定してドアtoドアでナビゲーションできれば便利だよね、というわけです。人の移動は徒歩だけではありません。クルマやタクシー、電車やバスといった公共交通機関も利用します。
----:すべての交通手段でガイドするサービスはきっとニーズがあるはずだ、と。
板橋:はい。GPSによるリアルタイムガイドができなくても、ルート案内だけでも使う価値があると考えていらっしゃるお客さまはこれまでも多かったのです。ケータイへのGPS搭載が標準化され、これからGPSケータイがもっと増えれば、さらにルート案内の可能性は広がります。