プレイズを履いたクルマに乗ると運転が楽になるというのは、走り始めてすぐに実感できる。
それは路面のアンジュレーションや凹凸によるハンドルのふらつきがないからだ。偏平タイヤや幅広タイヤなどで強調されてしまうニブリングやワンダリングという「ハンドル取られ」を感じないで走れるということは、こんなに楽なのかと改めて思う。極端ないい方をするとしっかりハンドルを握っていなくてもうまく直進していくという感じだ。だから運転していても疲れないということで、これが“楽ドラ”なのだ。
ハンドル応答性はあまりシャープではない。いい換えれば過敏ではないという方が正しいかもしれない。だからハンドルを切るときに動き過ぎることがないからそこに神経を使わなくてもすむ。過敏ではないけれど切った分だけはきちんと曲がってくれるから扱いやすい。また速い操舵でも反応に遅れはなく、キビキビした運転をしようと思えば可能だ。ハンドルを切るときの手ごたえや操舵力は軽めだ。だから切り込むときの抵抗はない。トータルとしてあまりシャープではないといっても、決して鈍重なタイヤではない。
コーナリングでもハンドルを切っていった方向にしっかりとグリップしてクルマを向けてくれる。タイトコーナーで大きく切り込んだ場合でもフロントが逃げてしまうことはないから安心感がある。ライントレース性能は高くドライバーの意思に忠実に動いてくれるから、ここでも“楽ドラ”を感じる。
グリップはさらっとした印象だ。グリップは強いというよりスッキリしているという感じだ。あまりガツガツと路面に喰い付くというのではなく、必要なときに必要な分だけグリップ力を発揮してくれるというイメージだ。余計な力は出さないから、余計な動きがない。これがさらっとした印象になる。
ただしグリップ限界になると粘る感じになる。限界時にズルッと滑ってしまうのではなく、思いのラインから徐々に外れていくことで限界に達したことがわかるから安心感がある。コーナリング中のアクセルコントロールに対してもあまり敏感に動かないから、ここでも安定性が高いと感じるドライバーは多いだろう。
FFの場合、発進時に急にアクセルペダルを踏み込むとグリップが強いタイヤでないと前輪がホイールスピンしてしまうケースがあるが、そんな場合でもプレイズではあまりホイールスピンはしないし、ホイールスピンした場合でも大きなスキール音はしないので恥ずかしい思いをしなくてすむ。
コーナリングでのグリップ力より前後方向のグリップ力が強い感じだ。それはブレーキングでもその強さを感じるからだ。しっかりとした制動感は安心につながる。
乗り心地はちょっと硬めだが、サスペンションとボディがしっかりしているVW『ニュービートル』ではそのデメリットを感じない。それよりダンピングがよく、揺れがすぐに収まることのメリットがありがたい。シャキっとしていて揺すられるような大きな揺れが来にくい感じだからだ。
新しいコンセプトから生まれたプレイズだが、これはタイヤのひとつの理想形ではないかと思う。これからもベンチマークとして注目されるだろう。