【フィアット 500 新型発表】オペラと俳句の差? ---テレビCM

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イタリアでは新型フィアット『500』発表と同日に、そのテレビCMが放映開始された。車自体のポップさに対して、そのCMの内容は意外に“渋め”だ。

まずは、1989年のイタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の一場面から始まる。映写技師アルフレードがフィルムを映写機に装着し、主人公の少年トトがスクリーンに見入るシーンだ。

映画の場面はそこまでで、以後はイタリア戦後史におけるニュースの白黒写真が続く。その間「(それらは)何が正しく、何が間違っていたかを教えてくれた」といったナレーションが流れ、やがて「私たちの中から生まれた、新しいフィアット」というキャッチとともに締めくくる。車両が映るのはラストだけで、それもサイドビューのみだ。

1年以上から派手な予告サイトが立ち上げられ、一部ファンからは「キャラクターはモトGPライダーのバレンティーノ・ロッシか?」と囁かれていたものの、実際は極めて真面目な社会派ともいえる内容となった。

また、ニュース写真の中には、1969年に勃発したフィアット労働者の大ストライキや、1992年に対マフィア捜査を推し進めたために爆殺された判事のランチア『テーマ』なども盛り込まれている。他のメーカーなら、負のイメージを与えかねないとして避けるであろうシーンである。

ただし、イタリア人にとって先代500は、戦後モータリゼーションの第一歩を共にした車。またイタリア人は、よくいえば詩的、ネガティヴにいえば説教調なCMが好きだ。そうしたことを考えると、あながち“外した”企画ではなかろう。

なおCMは1分30秒。結構見応えがある。たった15秒で新型車のすべてを語る日本版CMとは、オペラと俳句文化の違いか?

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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