【神尾寿のアンプラグド】日本でも浸透が始まったスマートフォン

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欧米市場を中心に勢力を伸ばすスマートフォンが、日本でも次第に“無視できない存在”になり始めている。

スマートフォンとは、英Symbian(シンビアン)社のSymbian OSや米Microsoft社のWindows Mobileなどの汎用OSを搭載し、汎用性と拡張性を持った高機能型携帯電話の総称だ。当初はPDAの進化系と位置づけられていたが、現在は小型でモバイルに特化した小型コンピューターと定義されている。その点では“ダウンサイジングされたPC”といってもよい。

欧米ではホワイトカラーを中心に普及率が年々高まっており、今年に入ってからは米Appleがコンシューマー向けのスマートフォンである『iPhone』を発表。世界中の注目を集めた。欧米や韓国の携帯電話メーカー、Googleなどネット企業もスマートフォン分野を重視しており、この分野は黎明期のPC市場のような期待感に包まれている。

しかし、その一方で、日本はこのスマートフォンの波に乗り遅れている。日本の携帯電話産業ではこれまで、携帯電話キャリアが端末の仕様や利用する技術、提供されるサービス、通信料金までを戦略的に設定する「垂直統合型」のビジネスが取られてきた。

キャリアの独自性が強く、その“囲い込まれた”状態を前提に、使いやすい端末やサービス、ユーザーサポート体制を構築。その上で、サービスやコンテンツの高度化を世界に先駆けて実現してきた背景がある。

これはPCと同じく水平分業の発想で発展していくスマートフォンと考え方が異なるものだ。そのため日本の携帯電話キャリアはスマートフォンの導入と普及に消極的であり、結果として、日本のスマートフォン市場が一般化しているとは言い難い状況だ。

◆ウィルコム、ソフトバンク、イー・モバイルが動き出す

だが、昨年後半から、日本のスマートフォンにもゆっくりとではあるが、着実な動きが見られるようになった。ドコモやauなど大手既存キャリアがスマートフォン分野に消極的な一方で、ウィルコムやソフトバンクモバイル、新規参入キャリアのイー・モバイルなど、業界3位以下のキャリアがスマートフォンを取り入れ始めたのだ。

この分野で最初に動いたのは、PHSキャリアのウィルコムだ。同社はWindows Mobile 5.0搭載のシャープ製スマートフォン『W-ZERO3』、『W-ZERO3 es』を市場に投入。同シリーズは販売開始初期に品切れが続出するなど、一定の市場ニーズを獲得した。

今のところW-ZERO3を購入しているのは「8割がリテラシーの高い個人ユーザー」(ウィルコム)という状況であるが、ウィルコムではWindows Mobile搭載の強みをいかして、法人のソリューション市場への展開も狙っている。

また今年4月に開催された「WILLCOM FORUM & EXPO 2007」では、最新のWindows Mobile 6.0搭載のシャープ製スマートフォンが近日中に投入されることがアナウンスされた。

ソフトバンクモバイルは現在、ノキアやHTCのスマートフォンを導入しており、一般的な日本メーカー製の携帯電話とは別にラインアップを構築している。今年に入ってからは法人市場向けスマートフォンの導入にも積極的になっており、ノキアのエンタープライズ市場向けスマートフォン『Nokia E61』を、『X01NK/Nokia E61』として販売する予定だ。

またソフトバンクモバイルは旧ボーダフォン時代に国際標準規格に近い3Gのサービス仕様を導入したため、ノキアが独自に日本市場に投入しているキャリア非依存型のスタンダードモデル、Nokia E61でもネットワーク設定が自動で行われる。あまり知られていないが、スマートフォンには強いキャリアだ。

イー・モバイルは今年3月31日にサービスを開始したばかりの新規参入キャリアである。同社は最初の端末として、シャープ製のWindows Mobile 5.0端末『EM・ONE』を投入。同社は最大3.6Mbpsという高速データ通信と、スマートフォンでもすべての通信がパケット料金が定額になるコストパフォーマンスの高さをセールスポイントにしているため、今後もスマートフォンを積極的に導入する可能性が高い。

日本のスマートフォンはまだ「黎明期」といった段階であるが、それでも1年前に比べれば端末も増えて、市場が動き出す傾向が見え始めた。これまでこの分野に消極的だったドコモも、法人市場向けにHTCのスマートフォンを導入し、今後もスマートフォンの端末や新料金プランを増やす模様だ。

スマートフォンはPCライクな使い勝手なため、今までの「使いやすく・高機能」な日本製ケータイを使っていた一般ユーザーがすぐに手を出すとは考えにくい。しかし、今後、法人やビジネスコンシューマーを中心に成長していく可能性は考えられるだろう。

《神尾寿》

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