エンジンを主役とし、モーターはあくまで脇役というホンダ「IMA」。新型『IMA』そのものの燃費改善効果は「通常のエンジンにポンづけしたとすると、およそ3割くらいでしょうか」(本田技術研究所・藤村章上席研究員)という。
次期『シビック』の10・15モード燃費31km/リットル前後という数字は、ロボット技術を駆使した世界屈指のバルブコントロール技術が投入された1.3リットル「i-VTEC」エンジンあってのものだ。
ハイブリッドシステム自体の効率の高さでは、トヨタの「THS II」に一歩譲る。が、ホンダはIMAの性能的な劣勢がハンディになるとは考えていないようだ。
「大きなメリットとして、まずシステム重量が絶対的に軽いということがあります。パラレル方式ですから、モーターは1つですみ、新型IMA用のものは単体重量も20kg未満と、きわめて軽量です」(本田技術研究所・小川博久主任研究員)
システムの容積が小さいこともメリットのひとつ。「モーターは極薄で、エンジンの寸法をほとんど変えずにハイブリッド化できるんです。汎用性は高いですよ。バッテリーやインバーターなどのパワーユニットもきわめて小さいものですみます」(小川氏)
さらに、IMAの開発を指揮した藤村章上席研究員は、ハイブリッド車の価格について、「1、2年というスパンでは無理ですが、モデルライフがもう1サイクルするあいだには、ハイブリッド車を、普通のエンジンのモデル比15万円高くらいで売ることができるようになると思う。それは可能だと思うし、そうしたい」と、将来の低価格化に意欲をにじませた。
実際、各部品のコストは相当下がってきているという。「すでにkgあたりの単価は普通のエンジン並みで作れるようになりました」(小川氏)というモーターをはじめ、パワートランジスタなど内製化した多くの部品も、量産が進めばいっそうコストが下がるとみているのだ。
低価格ハイブリッドという未来像を具現化できるかどうか、大いに注目される。