家族のためのカーナビ。これがカロッツェリア『楽ナビ』の従来モデルがテーマにしてきたものだ。TVコマーシャルもこのテーマに沿ってつくられており、家族でドライブに行くときに役立つナビということを強調してきた。メカニカルで男性的なイメージを前面に押し出すカーナビの中で、丸みを帯びた筐体や、透過光でオレンジ色に輝く丸いボタンなど、どこか柔らかな女性的なイメージを与えるデザインもひとつの特徴となっていた。しかし、この秋にデビューする楽ナビの6代目モデルは従来からのイメージを一新し、アルミ調のシルバーを取り入れた筐体でメタル感を強調している。特に2DIN・AVNタイプの筐体を採用した『DRZ90』は、従来の楽ナビシリーズと一線を画す精悍なスタイルが目を引く。これについてパイオニアのモーバイルエンタテインメントカンパニーで、マーケティングを担当する木村友則さんは「家族のための楽ナビというイメージを一新することが狙いでもあり、楽ナビシリーズとしては初めて精悍なイメージも取り入れた」と説明する。実は「家族のための…」というイメージが定着しすぎてしまい、30歳代のファミリー層から下の年代の独身男性には手が出しにくい状況も生まれていたという。20万円以下のカテゴリは他社製品の主要ラインナップも並ぶ激戦区でもあり、この部分を早期に改善する必要があった。このため、今回のモデルでは筐体のデザインだけではなく、TVコマーシャルやカタログのデザインも一新。1998年の初代楽ナビ以来、ずっと積み重ね、頑なに守り通してきた「家族ための…」というイメージをあえて払拭する作戦に打って出た。「購買層を20歳代にまで拡大して、販売数を伸ばすのも狙いのひとつ」と木村さんは語るが、これを消費者はどう判断するのかに注目したい。