【カロッツェリア 楽ナビ インプレ】最新モデルにも息づく、進取の精神と使いやすさへのこだわり

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カロッツェリア 楽ナビ・AR HUDユニット
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  • カロッツェリア 楽ナビ AVIC-MRZ099W
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カーナビ界で今もなお、圧倒的人気を見せるカロッツェリア『楽ナビ』。その秘密はリーズナブルな価格ながら、誰もが高機能を簡単に操れる優れた使い勝手の良さにある。

この秋に登場した新型は、その特徴を活かしつつも新たな機能を追加。最新モデルのインプレッションを通じて、楽ナビに貫かれている“使いやすさ”へのこだわりについて迫った。

誕生時からの基本コンセプトを形を変えて継承する『楽ナビ』

楽ナビと言えば、15年前に登場した初期モデルからいち早く音声認識機能に対応したり、“自宅”など利用頻度の高いシンプルなリモコンを採用するなど、新たな発想で使いやすくするための新機軸を数多く取り入れてきた歴史ががある。つまり、何かと扱いにくいIT機器と思われがちだったカーナビを、誰もが「楽」に扱えるカーナビへと変身させるきっかけを作ったのも楽ナビだったというわけだ。

この秋に発売された新モデル「AVIC-MRZ099W」「AVIC-MRZ099」でも、その「楽」を追求するこだわりは貫かれている。今回はそのうち、操作面でもプラスとなる2DINワイドサイズのMRZ099Wをインストールした日産の『セレナ』に試乗した。

カーナビ本体は昨年モデルをベースに、主にソフトウェア上での機能アップが中心。基本機能を踏襲しつつも、より使いやすさを実感できるブラッシュアップが施されているのだ。とくにMRZ099Wが実現したボディのワイド化は操作系に余裕を生み出し、回転式ボリュームも含めてスイッチ類を本体右側に集中配置。大半が右ハンドル車である以上、ほとんどの人が使いやすいと感じるデザインだ。新型の魅力はこれだけにとどまらない。それが運転中に便利と実感できるインターフェイスとして好評だった「エアージェスチャー」の着実な進化である。

この「エアージェスチャー」は大きく3つの機能で構成される。一つは、手をかざすと利用頻度が高い項目だけを画面下に表示させる「お出かけランチャー」。二つめはナビ画面時ならAVソースの情報を、AV画面時ならナビの情報を大きなウィンドウで表示する「チェックウインドウ表示」。そして三つめとなるのが、手を振るだけであらかじめ登録した機能を実行する「手振り操作」だ。

“手をかざす”だけの「エアージャスチャー」操作が持つ本当の意味

カーナビは通常、各種設定をするには「メニュー」を押すことから始まる。幾つかの階層を経て、目的の項目へたどり着き設定を行うのだ。しかし、運転中に複雑な流れを追うことは難しい。そこで、運転中に使いそうな項目を厳選し、手をかざすだけでそれらの項目を表示するものとしたのが「お出かけランチャー」である。項目は9項目あるが、そのうちの1つは「カスタム」として任意設定できるのが嬉しい。

次に「チェックウインドウ表示」。ルート案内を受けている時、「今聴いている音楽の曲名は何だっけ?」とか、逆にAVソースの画面で楽しんでいるときに「あれ?どの辺を走ってるんだっけ?」と思うことはよくある。だけど、これも運転中にいちいちモードを切り替えていたのでは操作が複雑すぎる。「チェックウインドウ表示」なら手をかざすだけで、それらの情報を画面右側に大きく表示。しかも、その画面にタッチすればその表示に切り替わる。ナビとAV機能を備えているからこそ、その便利さを実感できるのだ。

なかでも大きな進化となったのが「手振り操作」だ。実はこの機能も昨年モデルで搭載されていたもので、カーナビを見なくても手を振るだけで設定済み操作を反映できる機能として高い評価を得ていた。新型では機能を二つ登録できるようにし、使用時に機能を切り替えて使えるようバージョンアップ。しかも設定項目数は17種類の中から選べるようになり、手振り操作に合わせた効果音も7種類を用意するなど、使う人の好みに合わせた設定がより多彩に行えるようになったのだ。

「エアージェスチャー」全体を通して見逃せないのは、カーナビ本体には一切触れていないのに必要な操作ができるという点だ。カーナビに触れるということは、少なからずその間だけでもカーナビの方向に視線を向けるということ。一瞬のこととはいえ、これは安全面でリスクを抱えることにもつながる。このリスクから解放しながら、誰もが楽に操作ができることこそ、この機能搭載の本当の意味があったと言っていいだろう。まさに、楽ナビが持ち続けてきた基本コンセプトを新しいカタチで具体化した好例と言えるだろう。

『サイバーナビ』で培われた高い基本性能と信頼性

カーナビとして、その他の基本性能も十分に高い。目的地検索とルート探索でやや所要時間が長めに感じるものの、メニューの切り換えや地図のスクロールなどではスムーズさが十分に伝わってくる。豊富なデータを元にした目的地検索のしやすさ、ルートガイド時の親切なまでの表示は『楽ナビ』ならではの魅力だ。

そして、迷わずルートにたどり着くための正確なルートガイダンス、「スマートループ」による、きめ細かな交通情報を加味したルート、そしてユーザーの直感で操作できるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)といった要素も使いやすさを大きく左右するポイントだ。ここまでのロングヒットを獲得するには、長年のユーザーの支持がなければ到底実現は難しかったはずだ。

こうした使いやすさを追求は、ナビの高い基本性能があってこその話だ。なかでもそれを伝えるのが優れた測位能力である。そもそもカーナビは自車位置が正しく表示できるのが基本。これがきちんとできるからこそユーザーは安心してカーナビにルート案内を委ねられる。楽ナビは、パイオニアのフラッグシップ機『サイバーナビ』で培った経験を反映し、常に驚きの高精度ぶりを発揮する。

交差点では寸分の違いもないほど正確に曲がっていくし、道路の高低差もドライバーの間違いを直ちに反映させる。一見して当たり前のように見えるが、実はこれが難しい。GPSだけではビル陰や高架道に対応できないし、ビル反射の影響を受ければ誤差が出ることの方がむしろ普通。そんな状況の中で、高精度に自車位置を反映するには一朝一夕の技術で対応できるものではない。マニアックなまで測位精度にこだわるサイバーナビを作った経験があるからこそ、楽ナビもその恩恵にあずかれたというわけだ。

そして、迷わずルートにたどり着くための正確なルートガイダンス、「スマートループ」による、きめ細かな交通情報を加味したルート、そしてユーザーの直感で操作できるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)といった要素も使いやすさを大きく左右するポイントだ。ここまでのロングヒットを獲得するには、長年のユーザーの支持がなければ到底実現は難しかったはずだ。

高精度な楽ナビだからこそ「HUD」のメリットが活かされる

そして、この高精度、確かな情報は結果として、新たに対応可能となったヘッドアップディスプレイ(HUD)が活きてくる。HUDには少ない視線移動でカーナビ情報を表示できるメリットがあるが、限られた表示エリアである以上、誤った情報は運転に混乱を来すまた、POI(スポット情報)が正確であることも同様の意味で重要だ。つまり、高精度な測位を持つ楽ナビだからこそ、HUDを組み合わせる意味があると言うことだ。

試乗車のサンバイザーにはオプションでの組み合わせが可能な“AR HUDユニット”「ND-HD10」がセットアップされていた。。楽ナビ初対応となったこのHUDは、サンバイザーに取り付けるタイプで、液晶プロジェクターを使ってドライバーの前方約3m先に30インチ相当の大きさで像を映し出す。フロントウィンドウに重ねるように表示するので、視線を少し上方向にチラ見するだけで必要な情報がすべて得られるのがポイントだ。

とくにルート案内中でのガイド機能は抜群の見やすさで、「交差点名」今回楽ナビとしては初の対応となるや「ジャスト案内表示」などによって曲がるタイミングを的確に把握することができた。とりわけ、遠出した際の慣れない道路では、これまでナビの地図画面を気にして走らなければならなかったが、ヘッドアップディスプレイがあることで、視線移動は格段に減った。走行中の安全面に寄与することは実感できる。

またユニットの小型化によって天井からの圧迫感も大幅に減少したことも朗報で、比較的天井の低いセダンタイプやハッチバックでも乗車時にうっかり頭をぶつけることも少なくるはずだ。

視覚と操作の両面で新たな使いやすさ

『楽ナビ』は約15年前に登場した当初より“高機能を簡単に操れる”ことを目標として開発が行われてきた。よく、筆者は楽ナビとサイバーナビとの違いを聞かれることがあるが、その時は「サイバーナビは“カーナビの最先端”を常に感じるには格好のナビ。楽ナビはその技術の下、“使って安心”を常に感じられるナビ」答えている。つまり、サイバーナビも楽ナビも互いにコンセプトは違いつつも、永年の蓄積に基づいた確かさを踏まえたナビであることに変わりはない。

筆者は楽ナビの登場時から長年にわたってインプレッションをしてきたが、感心するのは基本コンセプトにブレがまったくないことだ。楽ナビのメディアストレージがCD-ROMからDVD-ROM、HDDからメモリーに変わっても、そして様々なAV機能や新しいユーザーインターフェースを採用しても、市販ナビトップブランドとしての進取の姿勢と使いやすさへ徹底してこだわる。移り変わりの激しいIT機器で、ここまで長年にわたりブランドを維持できていることは、こうした“信念”とも言える理由があるのだ。

今回の機能アップによって、『楽ナビ』は視覚と操作の両面で新たな使いやすさを実感できる進化を遂げた。カーナビ市場で不動の人気を保つ『楽ナビ』にこの魅力が加わったことで、その地位はさらに揺るぎないものとなるだろう。

《会田肇》

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