台風で不通になった鉄道を見学する…大井川鐵道が再開を願いツアーを企画 5月11・18日

下泉~田野口被災場所(4月10日)
  • 下泉~田野口被災場所(4月10日)
  • 下泉~田野口被災場所(4月10日)
  • 休憩場所、木造駅舎が風情ある田野口駅
  • 千頭駅の転車台
  • 21000系電車(イメージ)

静岡県島田市に本社を置く大井川鐵道は、2022年9月の台風により大井川本線(金谷~千頭間)のうち川根温泉笹間渡~千頭間が不通となっている。大井川鐵道が被災区間見学ツアーを計画、現状を理解を深める機会を設けた。

不通区間は路線の半分にあたり、地域の公共交通に大きな影響を与えている。2023年3月22日に静岡県を中心とした「大井川鐵道本線沿線における公共交通のあり方検討会」が開催され、2024年3月26日までに金谷~千頭間の運転再開を目指す方向性が確認された。

大井川鐵道は、全線運転再開に向けた現状の課題や必要な維持管理について人々に理解を深めてもらうため、大井川本線被災区間の見学ツアーを計画した。このツアーでは、千頭駅に留置された車両や長期間稼働していない施設に対して、労いの言葉をかける機会も提供される。参加者には記念品として「祈願ヘルメット」も配布される予定だ。

静岡県大井川鐵道被災区間見学ツアー

旅行日:5月11日(土)、18日(土)、日帰り
旅行代金:1名あたり2万8000円
中学生以上に限る。18才未満の参加は成人のが同伴する場合のみ可能。
行程:新金谷駅9時50分→(SL南アルプス号)→家山駅→(貸切バス)→下泉駅→(田野口駅まで3.6kmの被災区間を鉄道会社職員の案内で歩く)→田野口駅(休憩・昼食)→田野口駅13時30分→(貸切バス)→千頭駅→(南海電車着座体験、転車台作業体験)→千頭駅15時30分→(貸切バス)→家山駅16時00分→(快速急行電車)→新金谷駅16時25分・大鉄金谷駅16時30分
申込み:大井川鐵道公式ホームページから

行程解説

下泉~田野口……被災区間で川根温泉笹間渡~地名とならび被害が甚大な区間。大井川鐵道の不通区間が現在どのような状況にあるか、全線運転再開にあたり何が課題か、全線運転再開後の継続的な維持にあたり、どのようなことが必要かということを人々に理解してもらう機会として計画された。
田野口駅……不通区間にあるものの、地域の住人やファンを中心としたボランティア活動による美化活動で美しい姿が保たれている。2007年第20回静岡県景観賞最優秀賞(県知事賞)を受賞。
千頭駅の南海電車……大井川本線では通常時、夜間に車両を新金谷方と千頭方に分散して留置している。今回の被災では、千頭駅に留置した元南海電車(21003+21004)が取り残されたままになった。「早期における全線運転再開を望んでいるのは従業員や沿線のみなさまだけではないのです」と大井川鐵道。
千頭駅の転車台……1897年(明治30年)製造。日本に輸入された当初は東北本線の駅で使われ、旧国鉄の末期には新潟県の東赤谷駅にあった。1980年千頭駅に移設、2001年には国の登録有形文化財に登録された。蒸気機関車の転向作業に使われていたが、被災によりSL列車が千頭駅に到達できなくなってしまい、現在は活躍する場面が非常に少ない。今回のツアーでは、車両が載っていないものの、転車台自体を人力で動かす体験が企画された。

被災から現在までふりかえり

2022年9月23日:深夜から翌9月24日未明にかけ、台風15号による大雨で、大井川本線(金谷~千頭39.5km)と井川線(千頭~井川25.5km)が全線にわたり被災。運転見合わせ。
2022年9月26日:大井川本線でバス代行輸送を開始。
2022年10月8日:井川線千頭~接岨峡温泉15.5kmが開通。
2022年10月22日:井川線接岨峡温泉~井川が開通。井川線全線運転再開。
2022年12月16日:大井川本線金谷~家山17.1kmが部分開通。
2023年3月23日:大井川鐵道本線における公共交通のあり方検討会発足。
2023年10月1日:大井川本線家山~川根温泉笹間渡2.9km延伸。残る不通区間は川根温泉笹間渡~千頭。
2024年3月27日:大井川鐵道本線における公共交通のあり方検討会で大井川本線の早期における全線運転再開をめざす方針で一致。

《レスポンス編集部》

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