アウディ(Audi)は6月15日、新コンセプトの急速充電ステーション「アウディ・チャージング・ハブ」を、オーストリア・ザルツブルクに開設した、と発表した。アウディのEV『e-tron』やニューモデルを見たり、体験したりできる「MOONCITY」を併設している。
◆パフォーマンスを低下させずに高い充電出力を可能に
アウディ・チャージング・ハブは、中電圧送電網への接続を必要としない点で、他の多くの急速充電ステーションとは異なっている。また、追加のインフラ整備を必要としない点でも、従来の急速充電ステーションとは異なる。
この充電ステーションは、アウディのe-tronの開発車両から取り外した使用済みの再生リチウムイオンバッテリーを収めたモジュール式コンテナ「チャージングキューブ」をベースに構築されている。この設計により、地域の送電網に対する負荷が軽減され、複雑で高価なインフラ整備が不要になる。
ザルツブルクの拠点には、蓄電装置を備えた4つの充電ポイントがあり、最大出力320kWで車両を充電することができる。充電ステーションがフル稼働し、4つの充電ポイントすべてを同時に使用した場合でも、各充電ポイントは常に320kWの出力を供給できる。
◆決済用端末はボタンを押すだけで車椅子に適した高さに移動
アウディがオーストリア・ザルツブルクに開設した急速充電ステーション「アウディ・チャージング・ハブ」蓄電装置のない急速充電ステーションを開設する場合、必要な変圧器を設置するまでに長い時間がかかる場合がある。アウディ・チャージング・ハブでは、既存の電力網を有効に活用することができるという。
アウディが独自開発した高度な「ダイナミック・ロード コントロール(動的負荷管理システム)」は、既存の電力インフラの効率的な利用を実現する。設置場所を選定する際、アウディは社内のデータ分析に基づいて、現地の電力需要を事前に調査している。
アウディ・チャージング・ハブでは、すべての人々が利用できるように、バリアフリーの実現を最も重視した。広々とした敷地により、車椅子ユーザーが車両のドアを開けて、敷地内を移動する場合でも、十分なスペースが確保されている。決済用端末は、ボタンを押すだけで車椅子に適した高さに移動させることができる。
◆充電ケーブルは回転アームに取り付け
アウディがオーストリア・ザルツブルクに開設した急速充電ステーション「アウディ・チャージング・ハブ」車両がプラグ&チャージ機能に対応している場合、充電はさらに簡単になる。この機能を利用すると、車両および充電ポイントの間で支払い情報が直接通信されるため、現金による支払いや確認作業が不要になる。充電ケーブルは回転アームに取り付けられているため、充電プラグを車両の任意の位置に移動できる。どのEVでも、ユーザーは充電ポートに簡単にアクセスできるという。
この新しい充電ステーションでは、アウディ車でなくても、メーカーを問わず「CCS(コンバインド充電システム)」充電ポートを備えたEVが充電できる。アウディの顧客は、事前にスロットを予約することが可能だ。
「myAudi」アプリを使用してスロットを予約することにより、待ち時間なしに充電できる。予約した充電ポイントは、開始予定時刻から最大15分間の準備時間が設定され、ディスプレイバーに表示される、としている。