近鉄HDの社長人事、不祥事発覚で交代発表1か月後に撤回[新聞ウォッチ]

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「人事は水物」とはよく言われるが、これはトップ交代の「人事」というよりも、前代未聞の“珍事”ではないだろうか。旅行代理店大手の近畿日本ツーリスト(KNT)などを傘下に持つ、近鉄グループホールディングス(GHD)が、すでに公表済みのトップ人事案を変更すると発表した。

きょうの各紙にも「新社長の人事撤回」などと取り上げているが、近鉄GHDは、グループ会社社長の米田昭正氏が、新社長に就任するなどの新体制を発表したのは1か月前の3月24日のこと。

ところが、近畿日本ツーリストでは、4月以降、新型コロナウイルスのワクチン関連事業で東大阪市など3つ自治体に計約3億6000万円を過大請求していたなどの不祥事が発覚。監督官庁の観光庁からも行政指導を受けていた。このため、内定人事を発表してから、わずか1か月で急きょ撤回し、変更を余儀なくされた。

今回の発表によると、近鉄GHDの新社長には、当初は会長になる予定だった近畿日本鉄道社長の都司尚氏が就き、会長職を退き相談役になる予定だった小林哲也氏は会長にとどまるという。また、新社長に就任予定だった米田氏は、現職のKNT―CTHD社長に留任し、新型コロナ接種関連の業務で自治体に過大請求していた問題の解決に専念するという。

まるでドラマを見るようなドタバタ交代劇であり、新聞辞令ならともかく、大手企業がトップ人事を正式に発表した後に撤回するのは極めて異例だ。新体制は6月の株主総会後に正式に発足する予定というが、コロナ関連の不祥事を含めて株主の承認が得られるかどうか。

2023年4月26日付

●ネット中傷新たに法規制、総務省検討、運営側責任明確化へ(読売・8面)

●対ユーロ円安8年ぶり148円台後半(読売・9面)

●米EV減税日系メーカー危機感、電池の国内調達条件を厳格化対象外に(朝日・6面)

●半導体に国費前のめり、ラピダスに追加2600億円、開発遅れ産業投資1兆円規模に(朝日・7面)

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●日本GDP世界3位維持、昨年円安ドイツに迫られる(毎日・6面)

●近鉄HD社長人事撤回、近ツー不祥事で米田氏取りやめ(産経・9面)

●新社長就任後は助言役、ニデックの永守重信会長(東京・8面)

●BMW中国で批判浴びる、上海モーターショー(日経・12面)

●JR東、鉄道持つIT企業に(日経・16面)

●三菱自、前期226億円の損失計上(日経・17面)

●尼崎脱線18年、犠牲者悼み記憶つなぐ、JR西、現場で追悼式(日経・38面)

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《福田俊之》

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