【ジープ コマンダー 新型試乗】「このクルマは売れる」日本にフィットした初のディーゼルジープ…中村孝仁

チェロキーの後継車、初のディーゼル搭載で上陸

日本市場にバッチリとフィットするコマンダー

可もなく不可もなくを地で行くクルマだが

ジープ コマンダー
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ジープのラインナップに新しく加わったモデル、『コマンダー』である。同名のモデルはかつて日本市場にも存在したがそれとは異なるモデルだ。

確かに以前のコマンダーも3列シートであった。 ただ、スタイルが悪かった。その当時のCEOだったセルジオ・マルキオンネに言わせると「あの車は人間の消費に適さない。何故あれを買うのかわからない」と実に辛辣な表現でこのクルマをお蔵入りにさせた経緯がある。

翻って新しいコマンダーである。実はまだアメリカでは売られていない。果たして売られるかどうかもわからない。現在生産しているのはブラジルとインド。仕向け地は主として生産国とその周辺に限られる。

チェロキーの後継車、初のディーゼル搭載で上陸

ジープ コマンダージープ コマンダー

日本向けは右ハンドル仕様を生産するインドからやってくる。そもそもこのコマンダーであるが、ジープ『コンパス』をストレッチしたモデルである…というのがそのベースである。しかし、よく見てみると全然違う。こちらは最新の『グランドチェロキー』のデザインモチーフがちりばめられていて、如何にも最新のジープというイメージがとてもよく表現されていると思う。

搭載するエンジンは2リットルのターボディーゼルだ。ヨーロッパなどで売られている『レネゲード』などに積まれているフィアットベースのいわゆるマルチジェットと呼ばれるディーゼルである。そもそもディーゼルを積んだジープがやってくるのはこれが初。チューニングも数値的にはヨーロッパ版のレネゲードのそれと同じで170hp、350Nmの最大出力及び最大トルクを持つ。まあ、カタログ表記は170psとなっているが…。

ジープ コマンダージープ コマンダー

日本市場的には既に導入が止まっている『チェロキー』の後継車として位置付けられ、コンパスとグランドチェロキーの間にぽっかりと空いたセグメントを埋めるために投入されるモデルである。ではチェロキーは一体どうなるのか?とりあえず本国即ち北米では2023年モデルが販売される模様だが、ここ数年はほとんどアップデートらしいアップデートが行われないまま来ていて、2023年モデルも同様である。後継車が投入されるとすれば2025年というのがもっぱらの噂だから、仮に導入するとしてもその時になって考えればよい話なのだと思う。

日本市場にバッチリとフィットするコマンダー

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で、この新しいコマンダー。前述したようにまさにグランドチェロキーの雰囲気を持った少しコンパクトなモデル。おまけに3列シートを持っているから日本市場にはバッチリとフィットしている。ターボディーゼルだって軽油の安い日本市場にはこれもフィットするし、今のところエンジンラインアップはこれだけだから、チョイスのしようもない。

インテリアの作りもなかなか高級感を滲ませたもので、装備の充実も十分である。グレードについても「リミテッド」のワングレードだけで、これにサンルーフが付くか否かの違いがあるだけだ。勿論ジープのオンデマンドタイプ4WDである。要するにコスメティック的にも装備的にも何ら不満はない。

というわけで走りであるのだが、初めてやって来たマルチジェットの2リットルターボディーゼルは、瞬発力については少し不満が残るものの、同様なサイズのライバルメーカーが導入しているターボディーゼルとそれほど大きな違いがあるわけではない。今回は2時間の試乗だったので、燃費計測は出来なかったし、一般道の走行もあまりできなかったのだが、高速をそこそこのペースで巡航するのは得意なようである。

可もなく不可もなくを地で行くクルマだが

ジープ コマンダージープ コマンダー

というわけで取り立てて凄く良いという印象はないのだが、逆にどこにも不満がない。乗り心地だってそこそこ。抜群ではないけれどじゃあネガ要素があるかというとそれもない。サイズ的に全長4770×全幅1860×全高1730mmという外寸も今どきのクルマとしてはまあ普通。本当に可もなく不可もなくを地で行くクルマのように映った。

しかし、ジープである。今勢いのあるブランドだから興味を持つユーザーは多いはず。お値段はベースモデルで597万円。サンルーフが付くと613万円になり、パールコートの塗装が施されるとそれぞれ5万5000円高くなる。まあ、お値段もジープラインアップを見渡すと適正だろう。このクルマ、きっと売れる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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