【ベントレー ベンテイガ スピード 新型試乗】天文学的にお金を持っているなら…中村孝仁

3350万円の価格に、文字盤に埋め込まれたダイヤモンド…

ドライバーズカーとしての矜持を持ち続けている

ベンテイガの重さは道理にかなっている

ベントレー ベンテイガ スピード
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3350万円の価格に、文字盤に埋め込まれたダイヤモンド…

その昔「礼を尽くすクルマ」なんてキャッチコピーのクルマが存在したが、今回試乗したベントレー『ベンテイガ』はさしずめ「贅を尽くすクルマ」である。

ただのベンテイガではない。スピードの名を持つモデルで、W12エンジンを搭載し、車両本体価格は3350万円。素のベンテイガですら2280万円もするのに、そこからさらに1070万円も上乗せしたモデルである。言っておくがマンションの価格ではなく、れっきとしたA地点からB地点に人を乗せて走る移動体の値段である。そんなわけだから、試乗もおっかなびっくりで、はじめのうちはさすがに緊張しまくりであった。

ベントレー ベンテイガ スピードベントレー ベンテイガ スピード

そんな中でどうにも気になったのがダッシュ中央に付くブライトリングの時計である。文字盤に埋め込まれているのはどう見てもダイヤモンド…間違ってもベントレー様がスワロフスキーなんか使わないんだろうなぁ…などと考えながらドライブを始めたら、益々おっかなびっくりが増幅した。一応念のため、試乗後に広報に確認したところやはり本物のダイヤモンドだそうである。もちろんオプション。値段も聞いたがその時はすでに頭の中が真っ白で上の空だった。

ドライバーズカーとしての矜持を持ち続けている

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パフォーマンスは635ps、900Nmだそうである。まあこの辺りの数値を並べてみたところであまり意味をなさない。とにかくパワフルで速い…である。流石に贅を尽くしたクルマだけあって、その路面を滑るような走行感覚と、群を抜いた静粛性、そしてひと踏みすればあっという間に周囲を置き去る瞬発力。

ベントレーというブランドはロールスロイスに併合されていた時も自身のアイデンティティーを必死に守ろうと、同じ形をしていてもどこかにドライバーズカーである痕跡を残していたが、今はどのベントレーに乗ってみても袂を分けたロールスロイスとは明らかに違うドライバーズカーとしての矜持を持ち続けている印象が強く、単に快適で速いというだけでなく、どこかにドライビングを楽しませる仕掛けが施されている。

ベンテイガの重さは道理にかなっている

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と、この頃になるとだいぶクルマに慣れてきたからか少し冒険的な走りを楽しんでみた。ドライビングを楽しませる仕掛けの一つが「アクティブロールコントロール」と呼ばれるもの。48Vの電動式ということだが、要はモーターを駆動させてスタビにトルクをかけ、強制的にロールを抑えるという代物らしい。

さすがに都内を2時間ほどの試乗で、このロールの感覚はよくわからなかったが、快適なくせして決して突き上げ感などを感じさせず、しかもしなやかにコーナーを走破していく様はとてもこのクルマが2.5トンを超える重量級とは感じさせない。一度だけ床まで踏んでみた。恐ろしいほどの加速感で、これを味わう場所と言えば、精々日本では高速の料金所を超えた瞬間の刹那だけだろうなぁと感じた。勿論私が試したのもまさに刹那であった。

ベントレー ベンテイガ スピードベントレー ベンテイガ スピード

最近EVがヨーロッパメーカーの間で幅を利かせてきたが、重いバッテリーを搭載するSUVははるかに小さなボディを持つモデルでもベンテイガの重量を超えているモデルもあって、如何にEVが無駄に重いかを痛感させられる。そうした意味ではベンテイガの重さはまさに道理にかなっている。それだけにバランスが保たれて、重いのに軽さを感じさせてくれるのかもしれない。

SUVが欲しくて、この金額を厭わない人にとってはまことに素晴らしいクルマである。それにしても日本だけでなく最近の富裕層は天文学的にお金を持っているのだろうか…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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