レバー式とアクセルリング式…どちらがいいか? マツダMX-30 手動運転装置

MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle
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マツダは9日、下肢障碍者向けのドライビングシステムを搭載した『MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(MX-30 SeDV)』の予約受注開始を発表した。特徴はアクセルがハンドルに一体化されたUIだ。

◆PVレバー方式とアクセルリング方式

下肢障碍者向けの車両というと、国内ではPVレバーという方式が一般的かもしれない。AT車のシフトレバーのようなものがセンターコンソールの脇から飛び出しており、中立位置から前に倒すと減速・ブレーキ操作となり、手前に倒すとアクセル操作となる。

これに対し、MX-30 SeDVに採用されたアクセルリング方式は、ステアリングの内側のリング状のボタンがアクセルになっている。リングというかボタンというかバーを押し込むとアクセルオンとなり加速していく。離せばアクセルオフだ。ブレーキは、昔のステッキ型サイドブレーキのような棒を掌で押し込む。離せばブレーキリリースとなる。ただしグリップ部分はATのセレクトレバーのように大きくなっており、押しやすく力加減の調整もしやすくなっている。

PVレバーとアクセルリングのどちらが使いやすいのか。おそらくこの違いはないか、比較そのものが難しい。いってしまえば好みの問題だ。自分の運転スタイルに合わせて好きな方を選べばよい。

ロードスターの手動運転装置(PVレバー)ロードスターの手動運転装置(PVレバー)

◆どちらを選ぶかは好みの問題

アクセルリングは欧米などで採用が多い。PVレバー方式は、マツダも『ロードスター』で設定車両が存在する。PVレバーは、EVでいえばワンペダル操作とほぼ同じで、構造上アクセルとブレーキの踏み間違いが発生しない。ブレーキもアクセルも手の感覚で微調整がしやすいといった特徴がある。

アクセルリングは、両手でハンドル操作ができるので走行中の操作の自由度が高い。両腕を使ったほうが、体勢も安定するし、コーナリング中の微妙な修正舵もしやすい。必要なら、片手でステアリングとアクセルを保持できるので、片手でインパネの操作や飲み物を飲んだりといったこともしやすい(PVレバーは運転中、両腕がふさがる)。

一般的ではない話をすると、スポーツ走行や競技走行では、コーナリング中にアクセルを半開にしながらフットブレーキを微調整してアンダーステアを打ち消す、あるいはエンジンの回転を落とさないというテクニックもある。これに近い操作ができるのはアクセルリング方式となる。運転操作を積極的に楽しみたいという人にはアクセルリング方式のほうがいいかもしれない。

◆MX-30ならではの強み

MX-30 SeDVの特徴はアクセルリングだけではない。MX-30のフリースタイルドアを生かした乗り降りのしやすさと車いすの積み込み・積み下ろしのしやすさもある。BピラーがないMX-30は、ドライバーの乗り降りだけでなく、ドライバーがひとりで後席に車いすを積める(降ろせる)というメリットがある。

MX-30 Self-empowerment Driving VehicleMX-30 Self-empowerment Driving Vehicle

ドライバーの乗り降りについては、折り畳み式の移乗ボードが利用できる。移乗ボードに手をつくことで、シートへの乗り降りをサポートする。また左手でのブレーキ操作を支えるボード(ブレーキサポートボード)がセンターコンソール後方、ちょうど肘のあたりにくる。肘で体を固定しそこを支点として力も入れやすくなる。

もうひとつ特筆したいのは、アクセルペダルやレバーブレーキなどは既存のノーマルモデルの装備がそっくりそのまま利用できるという点だ。健常者も下肢障碍者も同じクルマを運転できる。つまり、家族みんなで同じクルマを運転できるということだ。ノーマル車両として運転するか、SeDV車両として運転するかは、イグニッションスイッチを押すときのブレーキ操作で決まる。フットブレーキを踏みながらイグニッションスイッチを押せばノーマル車両となり、レバーブレーキを押し込みながらONにすればSeDVモードとなる。

◆ディーラーオプション扱いでHV/EVどちらも設定可能

MX-30にはハイブリッドモデルとEVの2種類のパワートレインが存在する。SeDVの装備はディーラーオプション扱いとなるが、ハイブリッド、EVとも全モデル・全グレードに装着が可能だ。価格は取り付け工賃込みで52万8000円。障碍者向けということで消費税はかからない。なお、マツダによればこの金額は、自治体ごとの助成金や補助金などでほぼ相殺できるように決定されたという。

販売については、オンライン商談のしくみも整備した。専門家や実車の動画や映像によるアドバイスを受けながら相談・商談が可能だ。福祉車両、特装車両は、どのディーラーにも詳しいスタッフがいるわけではない。実車を見るのも大変だが、オンラインなら車両のあるディーラー等に出向かなくても自宅から詳しい商談ができる。


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《中尾真二》

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