CPS/IoTの世界市場は2030年に404兆円、日本は約20兆円に

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電子情報技術産業協会がまとめたCPS/IoTについての小冊子
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2017年はあらゆるものインターネットでつながるIoT(Internet of Things)の時代が本格的に到来した、まさにIoT元年と言っていいだろう。そんな中、電子情報技術産業協会JEITA)はこのほど、CPS(Cyber Physical System)/IoTの利活用分野別の世界市場調査の結果をまとめた。

「IoT化の流れは今後ますます加速していくものと期待されており、ソサイエティ5.0(超スマート社会の実現)に向けては、CPSとIoTを用いていかに課題を解決し、付加価値を高めるかが重要だ。今回初めての試みとして、CPS/IoTの世界市場の規模を把握するとともに、今後の展望を見通した」とJEITAの長榮周作会長は説明する。

それによると、CPS/IoTの世界市場は、2016年に世界で194.0兆円、日本で11.1兆円だったものが、2030年には世界で404.4兆円、日本で19.7兆円とそれぞれ約2倍の成長になるという。その背景として、さまざまな課題に対する社会的な要請に加えて、ネットワークにつながる機器とソリューションサービスのさらなる拡大があり、各種機器のIoT化率は30年には8割を超えると見ている。

日本市場では、「流通・物流」と「医療・介護」での利活用分野の成長が著しく、それぞれ30年までに2.4兆円、1.3兆円と大きく成長することが見込まれている。これは言うまでもなく、就労人口減少による人手不足、少子高齢化や地方の過疎化などの問題に直面しているからだ。その解決策の1つとしてCPS/IoTの活用が図られるというわけだ。

例えば、流通・物流分野では、倉庫内での自動ピッキング、店舗での無人POS、トラックの隊列走行などだ。すでに自動ピッキングについては導入している企業もあり、トラックの隊列走行は実証実験が始まろうとしている。30年には高速道路でトラックの隊列走行を当たり前のように目にするかもしれない。

また、医療・介護分野ではウェアラブルIoTによる健康支援、遠隔診療、見守り・緊急通報サービス、介護支援ロボットといったものだ。そして、それらはすべてクラウドにつながる。医者はウェアラブル端末をつけた患者のデータを見ながら遠隔地で診断や指導を行う。患者は病院で何時間も待たずに済むわけだ。

ただ、これらの分野は世界各国の企業が研究開発に鎬を削っている。しかも、海外では国と一緒になってプロジェクトを進めているところもある。果たしてその中で日本企業が優位に立っていけるのだろうか。ロボット分野では日本が2000年ぐらいまで世界をリードしていたものの、米国が国家ぐるみで研究開発に取り組んだ結果、あっという間に逆転されてしまった。その二の舞にはなってもらいたくないものだ。

《山田清志》

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