地下空間に急行線と緩行線を別々に掘る小田急線 東北沢~世田谷代田区間。世田谷代田駅に、3月24日から環境負荷低減を目指す取り組みの見学・体験ステージが出現する。
その名も「小田急環境ルーム」。世田谷代田駅地上駅舎供用開始にあわせた体験型プロジェクトで、小田急グループが手がける環境モデル事業の一端を駅舎内にコンパクトにまとめ、利用者に伝えていくというもの。スタート3日前の21日、メディア向け説明会が現地で行われた。
「もともと小田急30000形 EXEの運転台だった」と説明員が指差すのは、回生ブレーキ解説コーナー。実物の運転台とモニターで、力行、ニュートラル(惰性)、制動のそれぞれの状態での電気の流れを、EXEで実際に使われていたワンハンドルマスコンをカチカチとやりながらモニターを見ながら学べる。速度計もマスコンにあわせて振れるあたりがリアルだ。
世田谷代田駅の小田急環境ルームでは、回生ブレーキ解説コーナーのほか、自然共生の取り組みをパネルおよびデジタルサイネージ、東北沢駅・世田谷代田駅の太陽光発電システム発電量リアルタイム表示、同社100%導入の防音車輪と従来車輪の比較展示、世田谷代田駅3D模型による光ダクト・回生電力エレベーター・自然換気・地中熱ヒートポンプシステム・太陽光発電システムなどが紹介されている。
「地中熱ヒートポンプシステムを鉄道トンネルで採用したのは国内初。一般的に、乗降人員の多いところにこうした取り組み紹介をするイメージだが、小田急は環境配慮型モデル駅をこの世田谷代田駅に展開した」
同社1000形リニューアル車はVVVFインバータ制御装置に車両のフルSiCを採用、使用電力を40%以上削減したことを評価され、2015年エコプロダクツ大賞優秀賞に選ばれたことを伝えるなかで「小田急車両の98.8%が省エネ化されている」という言葉が出た。
「未達の1.2%は、1980年代から活躍している小田急ロマンスカー7000形電車。引退が迫っている車両で、ファンからは注目されている」
7000形が引退することで同社車両がすべて省エネ化を達成し、30000形EXEの運転台が回生ブレーキを学べる教材へと使われるようになった小田急の現場。小田急環境ルームでは、同社社員によるガイドツアーも実施。太陽光を地下へと運ぶ仕掛けや、建設中の路盤を間近に見ることができる同ツアーは、3月24日から公開される特設サイトから事前に申し込める。