東京の新宿駅周辺防災対策協議会は11日、災害対応にドローンを活用する実証実験を、新宿中央公園において実施した。実証実験では、ドローンを用いて災害時の地域の俯瞰的な状況把握を行ない、その情報をドローンの発着拠点と現地本部と区役所内本部で共有した。
協議会は新宿駅周辺の官民事業者で構成される。今回の実験でも機材や人材をそれぞれ提供し、ドローンは損害保険ジャパン日本興亜が平常業務で使用している機材で、同社の本社ビル内に常備されているもの。拠点間通信に使用する長距離無線LAN(4.9GHz帯)の機材は、工学院大学に常備されている。アンテナは、工学院大学には常設されており、新宿区役所のアンテナは仮設(今後常設を予定)、新宿中央公園のアンテナは可搬式を使用した。
実験では、災害時の避難場所として想定されている新宿中央公園を中心とした状況を、拠点間でリアルタイムに情報共有することにより、新宿駅周辺の事業者が、同公園への誘導の適否を判断することを想定した。同時に新宿区は、避難場所の安全性の把握と、管理者への適切な指示を行うことを想定している。また現地本部から公園周辺にいる滞留者へ、音声によるスポット的な情報発信を想定している。
今回の実験成果に基づき、今後は連携する地域を、3拠点だけでなく新宿駅周辺のより広い地域に拡大、あるいは他の地域の同種の協議会と連携することが考えられる。また、ドローンが撮影した映像を分析し、地域の滞留者密度などを定量的に把握することで、災害対応従事者の意思決定を支援できるようになる。さらに、拠点間での通信容量が確保されれば、音声による通話により密なコミュニケーションが図れる。滞留者に対しては、サイネージやビジョンなどに画像を送信することで、適切な指示・要望を統一的に伝達できるようになる。