ボッシュは、「オートモーティブワールド2017」の自社ブース内において、『eScooter』向け最新パーツを公開した。リチウムイオン電池やシステム統合コントローラーは今夏にも出荷する予定で、原付バイク的な使い方を想定した新たな市場の広がりに期待を寄せる。
ボッシュは電動スクーター「eScooter」によるシェアリングサービス「Coup」を独ベルリンで開始するなど、二輪の電動化へ向けた製品開発を熱心に行っているサプライヤーのひとつ。
そんな中、オートモーティブワールド2017で展示された「eScooter」向けパーツのモックアップでは、(1)スマホ用アプリ、(2)メーターパネル、(3)システムを統合的にコントロールするCPU、(4)リチウムイオン電池、(5)モーターコントロール、(6)インホイールモーターの6つの主要部品、を紹介していた。担当者によれば、これらを組み合わせればすぐにeScooterはできてしまうレベルにあるという。
この中で特に目玉となるのは、スマートフォンにインストールする専用アプリだ。アプリにはキーレスエントリーのような機能が入っており、ログインした後にスマホからeScooterを起動できる。乗り味もスマートフォンから変えられ、エコモードやパワーモードも設定可能。バッテリーステータスやナビ機能、走行履歴などのルートも表示でき、国によってはスピードメーターとして使うことも可能だ。
緊急時の機能も備える。ダイアグノーシスによる自己診断機能を装備し、異常がある部位を自動的に探し出して修理が必要な場合は近くの修理店まで案内。また、スマホと中央コントロールはBluetoothでつながっており、常に相互でやり取りを行っている。転倒したときなどはあらかじめ登録した箇所へ自動的に定型メールを送信できる『E-CALL』的な機能も装備。盗難にあった時もGPSで探し出せ、遠隔操作でシステムをストップさせることもできるという。
このうち、モーターコントローラーとインホイールモーターは中国市場向けに出荷しており、その出荷台数は年間で100万台ほどになるという。日本ではなかなかスクーターの電動化が普及しないが、担当者によれば「それは自動車と同様、航続距離が少ないことにある」と話す。しかし、今夏出荷予定のリチウムイオン電池は、原付バイク程度なら50~60km程度は走れるぐらいのスペックがあるそうで、電動自転車の発展系として十分な能力は備えている。家庭用コンセントを使い5~6時間程度で充電できるメリットもある。
これまではパーツの出荷台数が少ないことがコストアップにつながっていた側面もあることもある。ボッシュのような大手サプライヤーがこの分野に乗り出すことで、より身近なeScooterの登場が期待される。