内閣府は17日、戦略的イノベーション創造プログラム自動走行システム(略してSIP-adus)の第2回市民ダイアログを東京都内で開催した。
モデレーターに自動車ジャーナリストの清水和夫氏、岩貞るみこ氏らを迎え、自動走行システムの未来がどうなっていくべきか、市民との意見交換がなされた。第2回となる今回は、市民代表として大学生、および職業ドライバーが参加した。その様子をレポートする。
ダイアログは、芝浦工業大学教授 春日伸予氏の基調講演で始まり、続いて市民との対話がスタートした。まず、職業ドライバーの不安、不満を引き出すところからスタートした。
■職業ドライバーの不安、不満
物流業界:「長距離トラックのドライバーのなり手が少ない。高齢化している。人材確保が問題。宅配ドライバーも通販が増えて仕事が増えて人手不足」
メール便の配達:「自分で仕分けして配達する。長年やっているので地図が頭に入っているが、初心者だと仕分け、ルートが大変」
自動車リース会社:「お客様の一番大きなニーズは事故削減。講習を開催したり、ドライバーの指導をしている」
教習所:「高齢者に役立つべき運転支援なのに、使い方が難しくて役立っていない。教習所で運転支援教習を始めたらどうか。エコドライブ教習はすでに始めている」
バスのドライバーの教習:「若年層は古い車から始めて、だんだん新しい車に変えていく。同じバスでも車種が違うと感覚が違うので、都度教習しているが、外国車のバスの運転支援機能は操作が複雑で使いこなせていない」
タクシーのドライバー:「お客様によっては体調によってゆっくり揺れないように走ったり、お年寄り、小さなお子様の時も運転に気を使います。自動運転でそういうことができるのか」
■ 自動運転に対する不安
つづいて対話は、「自動運転に対する不安」へとテーマを移した。
バスの運転手:「現状は少しでもぶつけると運転手の責任が大きい。自動運転になるとその点どうなるのか」
自動車リース会社:「完全自動運転になると、人間は何もしていないのだから、人間に責任を問うのは難しいのでは」
■ 自動運転技術の理解、教育
最後のテーマは、「自動運転技術の理解、教育」について。
春日教授:「これからはメーカーも売るだけではなくて、もっとユーザーと対話して、(自動運転や新しい機能について)伝えていくことが重要」
清水和夫:「例えば被害低減ブレーキ。確かに有用なものだがわかりにくい。いつも完全に止まれるわけじゃない。ユーザーにきちんと伝えるかが難しい」
職業ドライバー:「メーカーの人から教わるんじゃなくて、実際に使っているドライバーから聞きたい。同じ目線、同じ感覚で」
大学生:「義務教育なり、大学の単位なりで教えればいいのではないかと思いました。移動する手段の新しい教科書を作って」
第3回は2月、都市計画の専門家などを招いて実施される予定だ。