スーパースポーツからビッグアドベンチャーまで幅広いラインナップを揃えるBMWの中で『F800R』はロードスターの位置づけ、つまり日本流に言えばネイキッドモデルである。エンジン形式は水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ798cc。シリンダーが横に2本並んだ“パラレルツイン“と呼ばれるレイアウトで、BMWでは「F800GS」系などを含めた現行のミドルクラスを担う代表的なユニットになっている。今回試乗したモデル2015年にマイナーチェンジを受けた新型で、最高出力は90馬力と従来に比べて3馬力アップ。他にもマップの見直しやミッションのギヤ比の変更、フロントフォークも正立から倒立タイプへ、ヘッドライトも初期型以来の特徴だった左右非対称型をあらため1灯式が採用されるなど、外観的にもよりスタイリッシュに魅力が高められている。さらにASC(トラクションコントロール)とESA(電子制御サスペンション)を組み合わせたセーフティパック仕様が新たに加えられるなど、全般的なグレードアップが図られた。出力特性は回転数とともにパワーが直線的に立ち上がるリニアさが特徴。回転フィールは滑らかで振動も少なく、スロットルを開ける右手の感覚と実際のパワーの出方が一致していて扱いやすいのが美点だ。それでいて、歯切れ良い鼓動感に乗せたトルクの盛り上がりの強烈さはスペック以上。「R」はチェーンドライブということもあり、同シリーズでベルトドライブ採用のライトツアラー「F800GT」などに比べても、加速感もよりダイレクトに感じられる。オーソドックスな車体構成とライトウエイトを生かした軽快で素直なハンドリングが持ち味で、街乗りからスポーツツーリング、サーキット走行まで幅広く楽しめる懐の広さも魅力。重厚なイメージの強いBMWの中にあって、女性やエントリー層にもおすすめしたい一台である。■5つ星評価パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★★快適度:★★★★タンデム:★★★★オススメ度:★★★★★佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
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