100円稼ぐのに155円…JR北海道、線区別の収支を発表

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板張りの小さなホームがあるだけの留萌本線朱文別駅。同駅を含む留萌~増毛間は100円の収入を得るのに約2500円の経費がかかった。
  • 板張りの小さなホームがあるだけの留萌本線朱文別駅。同駅を含む留萌~増毛間は100円の収入を得るのに約2500円の経費がかかった。
  • 札沼線の終点・新十津川駅。同駅を含む北海道医療大学~新十津川間は営業係数が1000円を超えている。
  • 函館本線の函館駅。同駅を含む函館~長万部間は赤字額では最大となった。

JR北海道は11月4日、2015年度の線区別の収支状況を発表した。安全基盤の強化に向けた修繕や設備投資を実施したことにより、2014年度に続き全ての線区が赤字。厳しい経営が続いている。

発表によると、全線区合計の営業損失は413億500万円。2014年度に比べ12億6900万円悪化した。100円の収入を得るために必要な経費(営業係数)は、2014年度より1円多い155円だった。

赤字額が最も大きかった線区は、函館本線の函館~長万部間。キハ183系特急形気動車の使用を再開したことで収入が増えたものの、北海道新幹線の開業を見越したアクセス強化のため線路関係の修繕費を増やしたことから49億6900万円の赤字となり、2014年度より6億8800万円悪化した。営業係数も2014年度より12円多い206円だった。

室蘭本線長万部~苫小牧間や宗谷本線旭川~稚内間も、キハ183系の使用再開で収入が増えたものの、旭川~名寄間は修繕費の増加で営業係数が悪化した。今年3月に第三セクターの道南いさりび鉄道に経営を移管した江差線五稜郭~木古内間は、鉄道施設などの修繕を集中的に実施したことから営業係数が悪化した。

営業係数ベースで収支状況が最も良かったのは、札幌圏の路線(札沼線桑園~北海道医療大学間、函館本線小樽~札幌~岩見沢間、千歳・室蘭本線白石~苫小牧間)。安全対策費用が増えたものの、新千歳空港の利用者が増えたことなどで収入も増加し、営業係数は2014年度に比べ2円改善されて105円になった。

営業係数が最も悪かったのは、今年12月4日限りの廃止が予定されている留萌本線留萌~増毛間で、100円の収入を得るのに2538円の費用がかかった。一部の区間が災害で不通となっている日高本線は、2014年度の倍近い2125円に悪化。札沼線の北海道医療大学~新十津川間、石勝線夕張支線の新夕張~夕張間、根室本線の富良野~新得間、留萌本線の深川~留萌間も営業係数が1000円を超えている。

1日の平均通過人員(旅客輸送密度)は、函館本線小樽~札幌間が4万4981人で最も多く、これに千歳・室蘭本線の白石~苫小牧間(4万4812人)、函館本線札幌~岩見沢間(4万3994人)、札沼線桑園~北海道医療大学間(1万7359人)、函館本線岩見沢~旭川間(9538人)が続く。旅客輸送密度が最も少ないのは留萌本線留萌~増毛間(67人)。沿線自体が廃止に同意している石勝線夕張支線は118人だった。

《草町義和》

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