2015年6月から導入されている『ゴルフGTI』の6MTモデル。DSG搭載のGTIと同様に220馬力のエンジンを搭載する。かつてスポーツモデルといえばミッションはMTというのが当たり前だった。それを揺るがしたのがDSGなどのツインクラッチ式ATの登場。シームレスなギヤチェンジを可能にしたツインクラッチ式ATはMTを凌駕し、瞬く間にスポーツカーのミッションとしての地位を獲得した。にも関わらず、MTのスポーツモデルにはある一定のニーズがある。それはなにか? を知るためにVWゴルフGTIの6MTモデルに試乗した。ゴルフGTIにはDSGが用意されている。エンジンの出力もサスのセッティングも同じだ。だが、MTのニーズがある…だからVWは設定をしているのだ。クラッチペダルを踏み込み、エンジンを始動。ギヤを1速に入れペダルをゆっくりと戻す。クラッチのつながる瞬間を見極めて、アクセルペダルを踏み込みエンジン回転を上昇させる。かつて覚えた一連の動作は、しばらくブランクがあっても忘れることはなく、自然と身体が動くから不思議なものだ。両手両足を動かしながら、クルマを加速、減速しつつコーナーをクリアしていくのはじつに気持ちがいい。なによりもいいのはシフトダウンのとき。右足つま先でブレーキペダルを踏み、左足でクラッチペダルを踏み込み、右のかかとでアクセルペダルをあおりつつシフトレバーを操作する。流れるようにこの操作が決まったときは最高に気持ちいい。ゴルフGTIに乗って「ああ楽しいなあ」と感じるのは、こうした一連の流れがきれいに決まり、そしてクルマの動きが素直に反応してくれるところ。もちろんDSGでもクルマの動きには大きな差はない。いや、MTはクラッチの操作ミスったりすれば、動きにスムーズさはなくなる。だがそれだけにうまくいったときの気持ちよさは格別なのだ。また、リズムに乗ってクルマを走らせるという面でもMTは魅力的。DSGやATでもリズムはあるのだが、アクセルをあおって走る様子は裏拍を取るようなリズム感を感じられて気持ちいい。エンジンのレスポンスが悪ければ拍は遅れるが、ゴルフGTIのエンジンはじつに素直にリズムに乗れる。ある意味、難しい面もあるけど、それを乗り越えて決まったときの気持ちよさは格別。それこそがゴルフGTI MTモデルの魅力なのだろう。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★諸星陽一|モータージャーナリスト自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
2代目VW『ゴルフ』に最新「カロッツェリア」、パイオニアが重低音サウンド披露へ…INSPIRE TOKYO 2025 2025年7月3日 パイオニアは7月10日から13日までの4日間、東京・渋谷で開催さ…