日立造船は、有明工場(熊本県長洲町)で舶用2ストローク二元燃料機関(DFエンジン)を開発したと発表した。同時に、開発したDFエンジンに燃料を供給するための高圧ガス燃料供給設備(FGSS)を含む実証設備も完成した。
DFエンジンは、従来の重油に加え天然ガスを燃料として利用できる。海運業界では環境規制が厳しくなっているが、天然ガスは従来の重油と比べ、CO2を約25%、NOxを約15%、SOxをほぼゼロに削減することが可能。
DFエンジンは、極少量の重油をパイロット燃料として噴射し、できた種火に天然ガスを300barの高圧で噴射し燃焼させる。
DFエンジンの開発にあたり、有明工場内にDFテストエンジンと天然ガスを供給するためのFGSSを完成、実証実験を行える設備を整えた。DFテストエンジンは既設の実証用ディーゼルエンジンに、ガス供給系と噴射弁、制御系の増設、カバー換装など、機関上部に改造を加えることで、天然ガスにも対応できる仕様とした。
FGSSは、工場南側岸壁付近に設置、生産工場とテストエンジンに燃料の天然ガスを供給する。装置は、現在のDFテストエンジンに加え、高出力エンジンに対する将来の拡張性も備えており、将来DFエンジンの製品出荷運転にも適用可能としている。
今回開発したDFエンジンに開発済みの舶用SCRシステムを組み合わせ、機関性能と環境性能を確認する実証実験を年内に完了する予定。
今後、舶用エンジンの展開は、低燃費燃焼技術や排熱回収技術を開発することでCO2排出量削減を目指す。また、IoTを活用した舶用エンジン状態診断装置を開発し、舶用エンジン運転データの分析と予防保全に役立て、信頼性向上を図る。