ドイツには数え切れないほどのチューニングメーカーが存在するが、本当に実力のあるチューナーとなるとその数はグッと絞り込まれる。その中でも異色の存在と言えるのが、ハイコ・スポルティフ。
ボルボのもつ高い安全性や快適性を損なうことなくスポーティなチューニングを施している、知る人ぞ知るブランドだ。ドイツ・ボルボ公認チューナーであり、ニュルブルクリンク24時間耐久レースの常連で何度もクラス優勝を果たしていることから、その技術力の高さも証明されている。
そんなハイコ・スポルティフの日本代理店、ハイコ・スポルティフジャパンが、日独合作とも言えるコンプリートカーを初めて作り上げた。「HS6RS」は、従来のコンプリート仕様「HS6」をベースに、ワイドボディ化などを施したスペシャルなモデルだ。
エンジンはノーマルでも304psを発生する直列6気筒のT6をベースに、ボルボ純正のポールスター・パフォーマンス・パッケージをインストールしてATのトルクリミッターなどを引き上げた上で、更にeモーション・アドバンスドと呼ばれるデバイスを使いECUをチューニング。その結果、最高出力は360ps以上に高められている。
RSの最大の特徴であるワイドボディはフロントフェンダー全体をカーボンファイバー製として、リアにもカーボンファイバー製のオーバーフェンダーを装着することで、左右それぞれ3cmずつワイド化することで実現。
サスペンションもビルシュタインベースで12段減衰力調整機構付きのオリジナルサスペンションが奢られ、ブレーキも6ポッドキャリパー&φ370mm2ピースディスクローターによって強化されている。
注目はアンダーフロアをカーボンファイバーのパネルで覆いフラットボトム化している、ということ。高速域では空気抵抗を増やすことなくダウンフォースを高められる、極めて効率の高いエアロチューニングなのである。
第1号車はエステートワゴンの『V60』をベースとしたが、今後は『S60』ベースのHS6RSも製作される予定。さらに世界中のハイコ・ディーラーで、このHS6RSは販売される計画もあると言う。ドイツのハイコ・スポルティフを率いるフォルガー・ヘディケ代表も、日本のものづくりの確かさと仕上がりぶりを認めている、ということだ。
ボルボで走りを楽しむオーナーに向けたスペシャルなチューニングモデル。気になるのは、やはりその走りだろう。近日中に試乗記もお届け出来る予定だ。