【日産 セレナ 試乗】コントロールしやすいミニバンだ…片岡英明

試乗記 国産車
日産 セレナ 新型
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ファミリー派から愛されている『セレナ』の5代目は、先代からのキープコンセプトだ。誰が見てもセレナと分かるデザインだが、2トーンのボディカラーを設定するなど、新しい試みも行っている。これまでと同じように、全幅を小型車枠の1695mmに抑え、大きくしなかったこともいい判断だったと思う。それでいてクラス最大級の室内長を実現して快適性を高めた。また、Aピラーを細くして前方の視界をよくするなどのアイデアも盛り込んでいる。

2列目は超ロングスライドが可能で、2人なら余裕たっぷりの広さだ。3列目シートも満足できる広さを確保した。2列目シートの3点式シートベルトをシートに内蔵し、Cピラーを50mm後方に移したから3列目へのアクセスもしやすくなっている。ラゲッジルームも広い。また、デュアルバックドアを採用し、狭い場所での利便性を向上させた。3列目シートの格納はちょっと面倒だが、跳ね上げてしまえば広くて使いやすい荷室が出現する。

エンジンは、「S-ハイブリッド」を採用した2.0リットル直噴のMR20DD型直列4気筒だ。ある程度までスピードが乗ってしまえばストレスを感じることはない。が、発進時の瞬発力やパーシャル域からアクセルを踏み込んだときのトルク感と応答レスポンスには物足りなさを感じた。これを除けばドライバビリティは良好だ。今までよりCVTの制御が緻密になり、回転フィールも滑らかになっている。また、クルージング時はエンジン音だけでなく、風切り音も大幅に減り、快適だった。

ハンドリングは安定方向の味付けだ。3、4人で乗ったときにしっとりとした落ち着きがあり、操縦性は素直である。コーナリングしたときの舵の利きがよく、自然なロール感も好ましいと感じられた。コントロールしやすいミニバンだ。乗り心地もよくなっている。ボディ剛性が高くなり、足の動きがよくなった。これが功を奏し、目地や段差を通過したときのショック吸収がスムーズになっている。

自動運転技術を用いた運転支援の「プロパイロット」は、条件付きではあるが、使えるレベルに達した。設定できる速度は30km/hから法定速度の100km/hまで。この速度内なら、車間距離を自動で保つように制御してくれ、両側に白線があれば車線の中央を走行するような制御も行ってくれる。スイッチをオンにすると、前走車と同じ速度と同じ間隔を保ちながら、車線の中央をキープして追走した。コーナーにさしかかると、自動でステアリングを制御してコーナリングしていく。

さすがに曲率のきついコーナーだと舵角が大きくなって滑らかさを欠いたし、場合によってはドライバーが切り増しする必要もある。また、前走車が一気に加速したときには余力がないから引き離されてしまうなど、追従加速には物足りなさを感じることもあった。逆に得意とするのは、東名高速道路や新名神高速道路などのクルージングだ。追従は上手だし、前走車がブレーキをかけて速度を落としたときも自動でブレーキ操作を行い、滑らかに減速した。

プロパイロットは高速道路をロングドライプするときには重宝する。今までのミニバンより、ドライバーの負担と疲労は大幅に減るはずだ。また、人為的ミスによる事故を減らせる可能性も高い。新しい魅力を携えて登場した5代目のセレナは、ファミリー派が長く付き合える、よきパートナーになってくれるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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